書評

『太平洋島嶼戦 第二次大戦、日米の死闘と水陸両用作戦』瀬戸利春・著

 ■制海・制空の視点で流れ俯瞰

 広い大洋に点在する島をめぐる戦いが繰り広げられた日米戦争。その帰趨(きすう)を決めたのは陸上の守備隊でなく、攻守の要となる海上輸送を行うための制海権と、それを守る制空権だった。緒戦から昭和19年のレイテ島決戦まで、島嶼(とうしょ)をめぐる特殊な戦争の流れを従来の戦記のように個々の島の戦いの集積ではなく、ひとつながりの戦役として俯瞰(ふかん)した視点で描き出す。

 日露戦争後の日米は長きにわたり互いを仮想敵国にしていたが、島嶼戦という陸海空を統合した新戦争への準備に日本陸海軍は出遅れた。今日の島嶼防衛への示唆も多く、戦史に関心ある人は必読だ。(作品社、2800円+税)

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