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新型コロナ 病床逼迫回避へ宿泊療養推進、基準明確化で療養者増加

 新型コロナウイルス感染拡大による病床逼迫(ひっぱく)を回避するため、東京都は確保病床の追加とともに、軽症者ら向けの宿泊療養施設の積極活用を進める。保健所向けに宿泊療養の基準を明確化するフローチャートを作り、日々の施設滞在者数は夏の感染ピーク時に比べて数百人多くなった。外国人の受け入れ対象を広げるために多言語対応を検討。関係者によると、新たな施設開設に向けた調整も本格化している。

 都は11月中旬、重症者用の病床について300床を視野に準備するよう都内の医療機関に求めたが、今月1日付の要請では200床とした。医療機関の個別の状況を確認し、新型コロナ以外の患者受け入れや、手術などに影響が出ないよう検討して決めたという。

 病床追加では医療従事者の配置が課題となり、調整に一定の時間がかかるとされる。このため都は病床確保に向け、入院が必要ない軽症者らの宿泊療養推進が必要と判断。都の東京iCDC(東京感染症対策センター)が宿泊療養の基準を明確化する判断フローチャートを策定し、11月16日に各保健所に送付した。

 関係者によると、以前は保健所の間で基礎疾患に対する評価の仕方などに違いがあり、宿泊療養が可能な場合でも「病床が空いていれば入院させるべきだ」との考え方を持つケースもあったとされる。こうした状況を踏まえ、フローチャートでは発熱や呼吸苦といった症状、基礎疾患、食物アレルギーなどに関して具体的な基準で判定する。

 第2波で新規感染者数がピークを迎えた時期の8月上旬では、宿泊療養に新たに入る人はおおむね1日当たり100人前後だった。フローチャート策定後は11月19日に205人、20日に191人になるなど多い人数が目立つ。日々の滞在者数が300~400人台で推移した8月上旬に比べ、11月24日は895人に上り、12月1日は712人。

 小池百合子知事は「宿泊療養が非常によく機能している。フローチャートで流れが変わった」と指摘。都によると、日本語か英語で会話できない場合は入院としている外国人についても、宿泊療養での受け入れに向けて多言語対応を検討している。

 都は1日当たりの新規感染者数が600人ほど確認される場合を想定して宿泊療養施設9施設約3千室を確保し、約1900人の療養が可能としている。

 都幹部は「宿泊療養の体制充実を進め、医療崩壊を防いでいく」と強調。小池氏は新規感染者数が1千人出ることも想定する必要があるとの認識を示しており、関係者によると、宿泊療養施設追加に向けた調整が本格化している。

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