ヘルスケア

自宅療養者の死亡相次ぐ 病床逼迫で入院調整難航の高齢者も

 新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、東京都で自宅療養者の死亡が相次いだ。保健所の入院調整で受け入れ先が見つからず、命を落としたケースもあり、病床逼迫(ひっぱく)で懸念されてきたことが現実になった。14日の都のモニタリング会議で専門家は感染状況について「爆発的な感染拡大を疑わせる水準となっている」と指摘。医療提供体制に関して通常の救急医療も含め危機的状況にあると警戒を強めた。

 「呼吸苦があり、熱が上がっている」

 8日、新型コロナに感染して自宅療養中の80代男性の家族から保健所側に連絡が入った。都によると、連絡を受けて入院調整が行われたものの受け入れ先が見つからず、9日には症状が軽減したことから、自宅療養を継続して様子をみることになったという。しかし11日に症状が悪化し、救急搬送された医療機関で死亡した。

 高齢であることに加えて糖尿病を患っていた男性は原則入院のはずだが、当初は軽症だったため、自宅療養になっていた。

 7日には自宅療養中の50代女性が自宅で倒れているところを家族に発見され、救急搬送されたが死亡した。前日に感染が判明し、高血圧などの基礎疾患はあったものの、発熱や喉の痛みといった症状が軽かったため、自宅で療養していたという。

 自宅療養者は13日時点で1カ月前の約7倍の8414人。都の担当者は「リスクの高い人が入院できるよう調整を進めていきたい」としている。

 ただ、入院や療養先が調整中の人の数も約6・4倍の6546人と急増しており、病床逼迫を背景に入院調整は難航。都は重症病床250床を含め計4千床を確保しているが、最近の入院患者数は3千人台の高い水準で推移している。都内の保健所の担当者は「年齢、基礎疾患などを加味して優先順位をつけて入院先を探すが、特に年末年始は大変だった」と話す。

 都によると、保健所が受け入れ先となる医療機関を管内で見つけられず都の入院調整本部に連絡した件数も増えており、今月6日以降では1日当たり400件を超えた。翌日以降に調整がずれ込み、待機を余儀なくされるケースが多数あるという。

 都のモニタリング会議では、感染拡大が続くと入院患者数は4千床を大幅に超える懸念が示された。重症者数も増加傾向にあり、人工呼吸器や人工心肺装置(ECMO)が間もなく必要になる可能性が高いなど重症に準ずる患者も200人を超えている。

 「重症用病床の拡大は限界を迎えている」。会議のメンバーで都医師会の猪口正孝副会長は危機感を表明。通常の救急医療も含めて危機的状況にあるとし、破綻回避に向けて新規感染者数、重症者数を減らすことが最も重要とした。

 小池百合子知事は報道陣に「亡くなる方を出さないことが一番大きな都の方針だ。その中で自宅療養で亡くなる人が出てきているということは今、厳しい状況であることの証左だ」と述べ、医療提供体制の強化を進める意向を示した。

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