ヘルスケア

菅首相、ワクチン接種「順番待つ」 周囲は先行接種進言

 新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、政府内で菅義偉首相が接種する順番が懸案となっている。首相自身が最優先されることに消極的な意向を示しているためだ。特権批判を回避したい思惑があるとみられるが、諸外国では安全性をアピールし、国民の接種を促すために政府首脳が率先して受けるケースが多い。周囲は危機管理上の観点から、医療従事者向けの先行接種段階での接種を促しているという。

 政府は新型コロナワクチンの接種について、(1)一部医療機関の医療従事者(約1万人)(2)新型コロナに関わる全国の医療従事者(約400万人)(3)65歳以上の高齢者(約3600万人)(4)基礎疾患を有する人や高齢者施設従業員ら(約1020万人)(5)その他-の順で進める見込み。承認手続きを経れば、(1)は早くて2月下旬に始まる。

 首相は今月18日の施政方針演説で「私も率先して、ワクチンを接種する」と述べたが、72歳の首相は(3)に該当するため、順番通りなら接種開始は3月下旬以降となる。首相自身は「順番が来たら受ける」と周囲に語っており、首相周辺は「先に打つと『特別扱い』だと批判されるのを懸念する人もいる」と語る。

 海外でも、政府高官の優先接種に批判が集まったケースもある。米国では昨年12月、ホワイトハウス高官が優先的に接種を受ける予定だった。しかし、批判の高まりを受け、トランプ大統領が「プログラムのどこかで接種する」と表明し、スケジュールの変更を余儀なくされた。

 とはいえ、諸外国のトップは広く国民に接種を呼びかけるため、早期に接種を受けるケースが多い。バイデン米次期大統領は同国でワクチン接種が始まって1週間後に受け、国民に向けて「接種は安全だ」とアピールした。昨年末に接種を始めたシンガポールではリー・シェンロン首相が1月8日に接種の様子をSNSで公開。インドネシアでは13日、ジョコ大統領が第1号として接種を受けた。

 菅首相は新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言を発令していることもあり、朝や夜の会食を控えている。だが、民間人も含め1日に多くの面会を重ねており、一定の感染リスクを抱えている。 

 今月7日には首相官邸でも職員の陽性者が確認され、周辺が(1)などの早い段階で受けるべきだと進言している。政府高官は「早期に接種を受けることは危機管理の面からも必要だ」と話す。(市岡豊大)

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング