新時代のマネー戦略

親の入院・介護は子どもの生活を狂わせる 「40」を覚悟と準備開始の歳にする

岡本典子
岡本典子

「仕事が忙しく、家庭もあり、親の介護はできない」、「介護施設の探し方がわからない」など、親御さんの介護や施設探しの相談が増えています。40歳は介護保険料徴収が始まる歳でもあり、親の介護のみならず自分の老後を考え始める、人生半ばとなる大事なとき。夫婦であれば親4人。まずは親の入院・介護で影響を受けることも視野に、老後の備えを進めましょう。

親の介護は、子どもの生活を狂わせる

 親は4人。高齢期になると、いつ、何が起きても不思議ではないのが現実です。人生100年時代とはいえ、100歳でピンピンコロリとなるわけではありません。生命保険文化センターの「年齢別要支援要介護認定者の割合」によれば、年齢が上がれば、介護が必要な人の割合も高くなり、85歳以上では60%の人が要支援・要介護の認定を受けていることがわかります。

 次に、介護している人の割合を厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成28年/熊本県を除く)で見ると、1位は「配偶者」:25.2%、2位が「子」:21.8%、3位は「子の配偶者」:9.7%となっており、子ども世代が担っている割合は31.7%です。

 さらに、内閣府による令和元年「高齢社会白書』を見ると、「同居している主な介護者の介護時間」は、要介護5では「ほとんど終日介護が必要」が54.6%。つまり、要介護度が重度になると、在宅介護では仕事はできなくなる確率が高いといえます。

 以上の統計から、親の介護度が高くなっていくと、皆さんの仕事や家庭生活に支障をきたしてくるであろうことがわかります。

「家族が介護の時間を提供する」or「介護費用をかける」

 要支援など要介護度が低く、認知症ではない場合は、訪問介護やデイサービスを利用するなどで、親自身で何とか乗り切っている人もいますが、要介護度が上がるにつれ、介護の必要度も上がっていきます。家族が介護に当たれれば、おむつなどの介護用品代などだけで済みます。しかし、上記グラフのように要介護度が高くなると、子ども世代など家族が介護に当たる時間が長くなり、これまで通りのペースでは仕事ができなくなり、家庭生活にも支障をきたすようになります。

 正社員であれば介護休暇や介護休業制度だけでは事足りず、離職すれば収入が途絶えます。  パートであれば直接収入減少につながります。介護のための時間が取れなければ、家族以外の人にお金を支払って介護に当たってもらう必要があります。介護施設へ入居となれば、それ相応の費用がかかります。

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