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「救急搬送困難事案」東北では仙台市消防局が突出 病床逼迫が影響か

 救急患者の搬送先がスムーズに決まらない「救急搬送困難事案」が、東北では仙台市で増えている。仙台市は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、新型コロナ特別措置法に基づく「蔓延(まんえん)防止等重点措置」の対象地域となっており、病床が逼迫(ひっぱく)している影響があるとみられる。

 全国52カ所の消防本部などを対象とした総務省消防庁の集計によると、仙台市消防局の救急搬送困難事案の件数(今月5~11日)は66件で、前週比では18件増えた。66件のうち、患者が37度以上の発熱や呼吸困難を訴えたケースは11件だった。

 東北では、山形市消防本部で6件、福島市消防本部、盛岡地区広域消防組合消防本部でそれぞれ2件を確認。青森地域広域事務組合消防本部、秋田市消防本部では確認されておらず、仙台市消防局の件数が突出している。

 仙台市消防局によると、仙台医療圏(仙台市など14市町村)では新型コロナウイルス対策として、熱やせきなど一定の症状がある救急患者を10カ所の協力病院に搬送する手順の運用を昨年6月から開始。ただ、仙台市を中心に今年3月に感染再拡大の兆候が見え始めて以降、仙台医療圏の受け入れ可能病床の使用率は86・4%(4月15日時点)となるなど、病床が逼迫している状況が続く。

 仙台市消防局の担当者は「(救急搬送の)すべてが新型コロナウイルスの患者ではなく、通常の救急医療もある」と強調した上で、「感染急拡大が(救急搬送困難事案増加の)1つの要因となっている可能性はある」としている。

救急搬送困難事案 救急患者に対し、病院への受け入れのための照会を4回以上、現場の滞在時間が30分以上だった事案を、全国52カ所の消防本部が総務省消防庁に報告している。消防庁では医療機関の受け入れ態勢確保などのため、厚生労働省、各都道府県とデータを共有しているという。

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