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米「選手守る」本気テロ対策 ソチ五輪 黒海に軍艦、制服で外出禁止

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米「選手守る」本気テロ対策 ソチ五輪 黒海に軍艦、制服で外出禁止

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2014年ソチ冬季五輪会場。競技は、ロシア・ソチの市街地から約40キロ南東にある黒海沿岸の「アドレル」と、アドレルから約45キロ離れた山岳地域の会場「クラースナヤ・パリャーナ」の2カ所で実施。(C)Google  ロシア・ソチ冬季五輪(2月7~23日)の開幕が迫る中、500人以上の選手団を派遣する米国が、現地でのテロ警戒の本気度を一段と上げた。チャック・ヘーゲル米国防長官(67)は1月24日、ソチが面する黒海に軍艦2隻を派遣すると言明。米国務省も24日、米国選手団に対し、五輪会場の外にはユニホームを着て出ないように警告するとともに、相当数の警護担当者も同行させ、選手団は当局者の厳重な監視下に置かれることを明らかにした。一方、複数の欧州の五輪委員会には最近、テロを予告する脅迫状やメールが送付され、緊張が高まっている。

 ドイツに輸送機待機

 ヘーゲル国防長官は国防総省での記者会見で、「ソチ五輪ではテロへの懸念が高まっており、軍艦2隻の黒海派遣を決めた。2隻は緊急時の米国民の保護・退避に備えるとともに、黒海沿岸から上陸してテロを企てているかもしれないテロリストににらみを利かせる役目も負う」と語った。

 また、長官は、五輪警戒で米国が提供できる支援について、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相(58)と電話で話し合ったことも明らかにし、その上で「ロシア側から特段の支援要請は受けていないが、もしロシアが支援を必要とするなら、いつでも手を差し伸べたい。もちろん、米国市民を避難させる必要がある場合は、ロシアと協力して適切な手配を行う」と述べた。ロシアの治安当局は現在、水中銃を携行した秘密警察官に黒海沿岸の潜水警備に当たらせ、「疑わしい者は即座に射殺せよ」と厳命しているとされ、米国もサポート体制を敷いた形だ。

 また、米CNNによると、米国務省はソチに派遣される230人以上の選手、270人以上の役員・コーチ陣に、競技以外の場で米国選手団のユニホームを着用しないようにと警告した。国務省幹部は、「米国の代表選手だとしても、それを五輪会場の外でまで宣伝する必要はない」と説明した。

 選手団以外にも、五輪期間中は約1万人以上の米国民が観客としてソチを訪れるとみられており、C17輸送機5機以上ドイツに待機させて約2時間で現地展開できる態勢を整えるとともに、国務省が契約した200人以上が搭乗できる民間会社の航空機も数機、ドイツに待機するという。

 5カ国に脅迫状・メール

 ここまでやるのかというぐらいの備えだが、裏を返せばそれだけ、テロの危機が迫っているということだ。イスラム武装勢力は昨年(2013年)12月、ソチから約700キロ離れたボルゴグラード(旧・スターリングラード)で34人が死亡し、80人以上が重軽傷を負った連続爆破テロを起こし、さらに五輪開催を妨害するためにテロを続けると言明している。今月(1月)20日前後には、ドイツ、イタリア、ハンガリー、スロベニア、スロバキアの少なくとも5カ国の五輪委が脅迫状やメールを受け取り、五輪に参加した場合の選手団へのテロを予告されている。

 五輪の開会式には、米国や西欧諸国からは誰一人として元首や政府首脳クラスは出席しない。欠席の理由として日程上の都合やロシアの人権問題への抗議などが挙げられているが、実際のところはテロへの警戒が一番の理由であることは間違いない。

 主要国の首脳クラスで開会式に姿を見せる方針なのは、日本の安倍晋三首相(59)と中国の習近平国家主席(60)だけである。危機が迫っているときは、米国ほどの覚悟と行動が必要だ。(SANKEI EXPRESS

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