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お散歩、占いから裏オプションまで…「JKビジネス」に救い求める少女ら

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お散歩、占いから裏オプションまで…「JKビジネス」に救い求める少女ら

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秋葉原で配られる「JKビジネス」のビラ=2014年、東京都千代田区(共同)  制服姿の女子高生らに男性客を接客させる「JKビジネス」が、東京・秋葉原などの繁華街で広がり続けている。「お散歩」「占い」「カウンセリング」を表看板に、業者は取り締まりを巧妙に逃れており、性的サービスを求める男性客が絶えない。親の虐待や貧困が背景にあるとして、少女らの悩みを受け止めようとする若者たちも現れた。

 背景に虐待、貧困

 「こんにちはー」「占いでーす」。秋葉原の通りで、数メートルおきに制服や「メイド服」の少女が立つ。都内の高校1年生という少女が記者に「占いだよ。お話しするの」と誘いを掛けた。

 だが、客の多くが持ち掛けるのが「裏オプション」だと、少女らの相談を続ける若者による市民団体「女子高生サポートセンター・コラボ」の仁藤夢乃さん(24)は説明する。「手をつなぐ」「ほっぺにチュー」「身体を触らせる」-。それぞれ数千円の値段が付く「裏オプ」。客によるレイプや暴力被害の訴えも多い。

 家庭の不和や虐待に耐えかね、家に居場所がなくなった少女らは、ネット求人の「安全です」の文字を真に受けてJKビジネスの店にやってくる。「高校に行くなら家に金を入れろ」と親に迫られた少女もいる。「店長が親身に相談に乗ってくれた」と感激し、やがて「裏オプ」にも慣れてしまう。

 「助けようとする大人はいなくて利用しようとする人ばかり。私たちの活動で声を掛けると『数週間、おじさんとしか話してなかった』と泣きだす子もいる」と仁藤さんは話す。

 女子高生らが遊び半分の小遣い稼ぎでやっているとの見方に対し、本人たちから聞き取りを重ねてきた仁藤さんは「実際には、貧しい家庭の少女が少なくない」と指摘。「きょう食べるものがない」と切迫した気持ちでJKビジネスに足を踏み入れる少女もいるという。

 深夜の11時。秋葉原の路上では少女に男性が近づき、小声で話し始めた。家出してこの街で働く少女は食事や「泊まる場所」を持ち掛けられると断れない。コインロッカーに制服や身の回り品を入れて通学する少女もいるという。

 軽い刑罰

 「お散歩」「占い」などの形態を取るJKビジネスでは、性的サービスには店側は関知しない建前になっている。これが壁になり、児童買春での摘発は難しい。

 少女にマッサージや添い寝をさせた店では、労働基準法が禁じる「年少者の有害業務」をさせた容疑で経営者が逮捕された例もある。しかし刑罰は6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金にとどまる。多くは罰金を支払い釈放されているとみられる。

 女性の人権に詳しい弁護士の角田由紀子さんは性の売買がまかり通る現状を変えるべきだと訴える。「(性的サービスは)子供の心に一生の傷が残る虐待なのに、消費する側は娯楽だと思っている。この異常性が分からない社会はおかしい」

 ≪法の抜け道探し形態変化 横行歯止めに決め手なし≫

 女子高生らを使う接客サービスに「お散歩」や「占い」が登場したのは、少女によるマッサージをうたう「リフレ」が一斉に摘発された昨年初め頃からとされる。業者側は、身体の接触や性的サービスをしない名目で法律の抜け道を探し、捜査を阻む。取り締まりのたび形態を変える「JKビジネス」に、専門家は法の網の強化を求めている。

 警察庁少年課によると、こうした業者は2010年ごろから目立ち始めた。マンションや雑居ビルに簡単な内装を施すだけ。少年課の高橋靖理事官は「設備投資の費用が少なくてすみ、労働力も確保しやすい」と背景を分析する。

 高橋理事官は「(少女が)自分を売り物にすることは、心身に有害な影響を与える」と懸念している。法律を駆使し取り締まろうとしているが、「実態はつかみにくい」とも。

 摘発によく使われる労働基準法の「年少者の有害業務」は、主に危険な機械や薬品を使う仕事を念頭に、年少の労働者を守るための規定だ。「お散歩」などを「有害」と断定できるかどうか、問題になりやすい。JKビジネスの横行に歯止めをかける決め手は、見あたらないのが実情だ。

 警察庁に23年勤め、児童買春や児童ポルノ問題に詳しい後藤啓二弁護士は「子供を性の対象として利益を得る活動を処罰する条項を児童福祉法に設けるべきだ。児童福祉法では既に子供の虐待、搾取行為に最高懲役10年を科している」と提言する。(SANKEI EXPRESS

 ■JKビジネス 女子高校生(JK)による親密なサービスを売りに男性客を誘う接客業。時間制で客と外出する「お散歩」、室内での「占い」、客に写真を撮らせる「撮影」などのサービスを掲げる。インターネットで「友達と一緒の応募可能」「安全」とうたい、女子高生らを募集している。米国務省は6月に発表した各国の人身売買に関する報告書で、日本の「JKお散歩」が買春の場になっていると批判した。

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