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思い通り最期を、29歳の選択 安楽死のため移住、米で賛否

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思い通り最期を、29歳の選択 安楽死のため移住、米で賛否

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米オレゴン州ポートランド  末期の脳腫瘍(しゅよう)と診断され、安楽死が合法化されている米西部オレゴン州に移住した女性が「来月、安楽死する」と公表、インタビュー映像が度々テレビで放映され、自身も心境を語ったビデオを動画サイト「YouTube」に投稿し、全米の注目を集めている。ソーシャルメディアでは「自殺を許容し、美化している」との批判や「計画的に穏やかに死を迎えるのは当然の権利」との支持が交錯し、「死ぬ権利」をめぐり、議論が活発化している。

 脳腫瘍…余命6カ月

 この女性は、ブリッタニー・メイナードさん(29)。米CNNなどによると、メイナードさんは米カリフォルニア州サンフランシスコで夫のディアスさん(42)と新婚生活を送っていたが、昨秋以降、度々激しい頭痛に襲われるようになり、結婚から1年たった今年1月早々、サンフランシスコの病院で診察を受けた。その結果、悪性の脳腫瘍と診断され、9日後に開頭手術を受け、側頭葉の一部を切除した。

 しかし、腫瘍は肥大化して病状は悪化。4月には医師から「余命6カ月」と宣告された。手の施しようがないと言いながらも、なお医師は放射線治療を続けようとしたが、メイナードさんは「意味のない治療は残された私の人生の時間を台無しにするもの」と反発。ディアスさんや実母とも話し合い、安楽死を選ぶことにした。ただ、カリフォルニア州では安楽死は認められていないため、全米で1997年に初めて安楽死が合法化(「尊厳死法」成立)された隣州のオレゴン州のポートランドに家族で転居した。

 オレゴン州ではこれまで、752人が医師の処方した薬剤によって安楽死しており、全米では現在、他にワシントン、モンタナ、バーモント、ニューメキシコの4州で安楽死が合法化されている。

 YouTubeで自ら反論

 残された時間を民間団体と協力し、安楽死という選択肢を広く知ってもらうための資金集めに費やしているメイナードさんは米メディアに、「自殺ではない。自殺ならとっくに服薬していた。自分の思い通りに死にたい」と心情を吐露。これに対して安楽死に批判的な団体からは、病気の高齢者が死を選ぶなど悪影響をもたらしかねないと批判の声が上がった。

 論議が活発化する中、メイナードさんは批判に応える形で、今月6日に自身が語る6分間の映像を「YouTube」に投稿。「尊厳死は個人が権利として選べる選択肢の一つ。州によって対応が異なるのは不公平であり、全米でこの権利が公平に行使できるように残りの時間で力を尽くしたい」と語った。

 その上で「病気になってから旅行を続けており、夫ともイエローストーンに行った。この美しい地球で残された日々を、できるだけ屋外で過ごしたい」「最期の時は夫と母に見守られながら寝室の自分のベッドで好きな音楽を聴きながら穏やかに迎えたい。26日に夫の43歳の誕生日を祝った後、劇的に症状が(一時的に)改善しない限り、来月1日に服薬によって死にたい」と述べた。

 この映像の再生回数は投稿から3日間で520万回を超えたという。議論はさらに続きそうだ。(SANKEI EXPRESS

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