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スペインはユニークなロックバンドの宝庫 チェ・スダカ、ザ・ライト・オンズ

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スペインはユニークなロックバンドの宝庫 チェ・スダカ、ザ・ライト・オンズ

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2002年にスペインのバルセロナで結成されたロックバンド、チェ・スダカ=2014年3月21日(提供写真)  スペインの音楽といえば、フラメンコというのが定番。しかし、実際のところはジャズもロックもヒップホップも盛んだ。また、古くからキリスト教とイスラム教が共存していた土地柄の影響なのか、世界中の音楽が集まる異文化交流の場にもなっている。だから、スペインのミュージシャンというと、さまざまなジャンルの融合を行う印象が強い。もちろん、正統派のロックバンドも多数存在し、ロックシーンといっても一面だけでは語りきれないのが実情だ。

 ラテンのごった煮

 日本でも話題になったムーブメントとしては、バルセロナのミクスチャーロックが有名だが、チェ・スダカはそのなかでも不動の地位を築いている。厳密に言うと、彼らは純粋なスペインのバンドではない。アルゼンチン出身のミュージシャンがスペインに渡り、ストリートで演奏していた不法滞在のコロンビア人と結成したというのが成り立ち。2003年にデビューを果たし、一躍人気バンドに成長した。

 彼らの特徴は、スカやパンクに加え、クンビアやルンバといったラテンテイストをたっぷり盛り込んでいるところ。6枚目となる最新作「オイ」でも、ごった煮状態のアッパーなアレンジに乗せて、人なつっこいメロディーを高らかに歌い上げている。カタルーニャの独立問題など痛烈なメッセージを織り込んだ歌詞も特徴的だが、盛り上がり必至のパーティーミュージックに仕上げているのが見事だ。

 英語詞封印で新境地

 一方、マドリードを拠点に活躍するザ・ライト・オンズもユニークなバンドのひとつ。2007年にデビューした彼らは、いわゆるガレージロックなどと総称されるような荒々しいロックンロールを演奏する5人組。サウンドだけ聴くとマンチェスターあたりにいそうなUKテイストのロックバンドだが、新作アルバム「ヴォルカン」ではこれまでの英語詞からスペイン語の歌詞へと転向したことで新たなステージに突入。サイケデリックロックやソウル、ファンクといったビンテージサウンドをギターロックと融合させることによって、独自の味わいを醸し出している。

 英米のチャートに食い込んでもなんらおかしくないクオリティーを持っており、日本でも徐々にファンを獲得しているので要注目だ。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS

 ■Che Sudaka 2002年にスペインのバルセロナで結成されたロックバンド。03年にアルバム「トリプル・タウン」でデビュー。ロックとラテンのミクスチャーが特徴。ライブに定評があり、フジロックフェスティバルにも出演した。政治的なメッセージ発信でも有名。

 ■The Right Ons 2006年にスペインのマドリードで結成されたロックバンド。07年にアルバム「80.81」でデビューし、ヨーロッパはもちろん南米や日本にまで進出。最新作「ヴォルカン」では英語詞を封印し、スペイン語で歌うことで大きく評価された。

 ■くりもと・ひとし 音楽&旅ライター、選曲家、ビルボードライブ企画プランナー。2年間の中南米放浪の経験を生かし、多彩なジャンルで活動中。情報サイト、All Aboutでアルゼンチンのガイドを担当。最新著書は「アルゼンチン音楽手帖」。

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