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2国間協定に為替条項? ドル高牽制に身構える日本

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2国間協定に為替条項? ドル高牽制に身構える日本

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 トランプ米大統領が2国間の通商協定で為替操作防止の規定を盛り込む方針を示したことについて、日本政府は慎重な姿勢を崩していない。為替相場は金融政策などに左右され、通貨当局間で協議するのが原則だからだ。トランプ氏がドル高を強く牽制する中、日本が、円高に歯止めをかけるための為替介入に踏み切るハードルは高くなっている。(田村龍彦)

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 菅義偉官房長官は27日の記者会見で「(通貨政策を制限しなかった)TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)のようにまとめる」と述べ、通貨政策を制限する2国間協定には否定的な考えを示した。

 為替相場は各国の金融政策や財政政策などの影響を受けやすい。政府関係者は「車や農産物の関税を話し合う通商交渉と、通貨政策を一緒にするのは無理がある」と打ち明ける。

 昨年の米大統領選後に進んだ円安ドル高は、トランプ氏が打ち出した景気刺激策への期待で米国の長期金利が上昇し、日米の金利差が広がったためだ。しかし、トランプ氏は大統領就任後に保護主義的な発言を繰り返し、一時1ドル=112円台半ばまで円高が進む場面もあった。

 大企業製造業の今年度の想定為替レートは1ドル=104円台と足元の円相場とは大きな差があるが、大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリストは「米景気に減速感が出れば、リスク回避が進む」と、年内に1ドル=100円前後になる可能性もあると予測する。

 トランプ氏が今後も“口先介入”でドル高是正を迫れば、円高が加速する可能性もある。ただ、為替介入も含め日本が打つ手は少なく、政府内では「日本の政策や日系企業の米国投資をトランプ政権に納得してもらうしかない」(幹部)との声も聞かれている。

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