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【飛び立つミャンマー】スーチー氏へのねじれた愛情、ロヒンギャへのナショナリズム問題

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【飛び立つミャンマー】スーチー氏へのねじれた愛情、ロヒンギャへのナショナリズム問題

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 根本敬・上智大学教授のビルマ考現学(29)

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 ■スーチー氏へのねじれた愛情

 バングラデシュへのロヒンギャ難民の流出は、いまや60万人に達する勢いである。ロヒンギャ人口の5割以上が難民と化している。国際社会は非難の集中砲火をミャンマー政府に浴びせているが、アウンサンスーチー国家顧問へのミャンマー国民の支持にはいささかの揺れも見られない。それどころか支持は強まってさえいる。だだ、その支持の実態は、国家顧問に対する国民の「ねじれた愛情」のように映る。

 スーチー氏はやる気

 国民の多くは「私たちの大切なアウンサンスーチーさんを国際社会がいじめている」と受け止め、その心情をもとに、彼女を守ろうとしている。そこには同時に「ロヒンギャは民族ではなく不法移民集団、出て行って当然」という排他的なナショナリズムが影を落としている。そのため、国家顧問がやる気を見せているロヒンギャ問題解決への取り組みがかえって阻害され、いっそうやりにくくなっている現状がある。

 確認しておきたいことは、ロヒンギャ問題解決に向けたアウンサンスーチー国家顧問の前向きな姿勢である。前回(9月15日付)も書いたが、国際社会はメディアを含め、この点を過小評価し、彼女を批判しすぎている。しかし、現実のミャンマーにおいて、彼女ほど、この問題の解決にやる気を見せている政治指導者は見当たらないことを見落としてはならない。

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