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リトアニアを訪ねて~カギ握る文化アイデンティティー 世界に挑むデザイナー

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リトアニアを訪ねて~カギ握る文化アイデンティティー 世界に挑むデザイナー

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 1970年代後半生まれのカーライナ・ジュカイトは、リトアニアの首都・ヴィルニュスの芸術アカデミーで「リトアニアのグラフィックデザイン史」で博士号をとった研究者である。カーライナはこう話す。

 「デザイン史で苦労するのは、ソ連時代のことを話したがらない人が多い、という現実に直面するからです。一律にどうとは言いにくいですが、ソ連の官僚制度のなかでいい思いをしていた人たちは、反体制思想をもっていた人たちの記憶を刺激したくないでしょう」

 ソ連時代、美的判断を下す評議会のリトアニア支部があり、TVのような製品から書名のロゴまでありとあらゆるデザインを審議した。エンジニアからデザイン史までさまざま分野の専門家が目を光らせる。「テクニカルな面の審美性」が重要で、デザインがもつ「意味」はコンテンツに属し、意味に触れることは評議会の管轄外であったようだ。担当はあくまでも「カタチ」なのだ。

 カウナス工科大学デザインセンター長であるルータが「ソ連時代にリトアニアの人の美的センスが低下した」と話していたが、カーライナは少々ニュアンスを異にする。

 「評議会が美的管理をしたことで、あまりに酷いものは出なかった、とも言えます」

 デザインにおける自由、あるいは個人の美的センス表現という観点から評議会の存在は歪な姿に見えるが、資本主義圏の景観・都市計画の評議会を思い起こせば、どのような世界にあっても不思議ではないシステムと考えられる。

 画像をご覧いただきたいが、1970年代ブームに盛り上がる2018年の今、これらのデザインは「いい線をいっている」と見える。ただ、これらが発表された時点で「やや、どこかの影響を受けているね」と評された可能性はある。

このニュースのフォト

  • 1970年の大阪万博で発表されたファッションデザインdesigned at the Vilnius House of Clothing Design Photograph by K. Liub?ys, 1970(Lithuanian Central State Archives)
  • Erfurtas designed by architect Lygija Marija Stapulionien? (1975). Photograph from Lygija Marija Stapulionien?’s personal archive

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