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外相「極めて無礼」 徴用工訴訟で駐日韓国大使とのやりとり詳細

 河野太郎外相は19日午前、いわゆる徴用工訴訟をめぐり、日韓請求権協定に基づく仲裁委員会の設置に韓国政府が応じなかったことを受け、南官杓(ナム・グァンピョ)駐日韓国大使を外務省に呼び出し抗議した。南氏が韓国側の立場で反論すると、河野氏が「極めて無礼だ」と強い口調で非難する場面もあった。やりとりの詳細は次の通り。

 河野氏「旧朝鮮半島出身労働者の問題について韓国の大法院(最高裁)判決により、国際法違反の状態が続いております。そのため、日韓請求権協定に基づいて1月に協議を要請し、残念ながら韓国側にそれを受け入れていただけませんでしたので、5月20日に仲裁を申し入れました。仲裁委員の選定もなく、また第三国の選定も行われず、この請求権協定に基づく仲裁を行うことができなかったのは、非常に残念に思います。また、韓国政府が国際法違反の状態をこれ以上野放しにしないように直ちに是正の措置を取られることを強く求めたいと思います。両国が国交を正常化する際にわれわれの先人が非常に長い年月をかけ、また双方が知恵を出し合い、努力をしあって、この日韓の基本条約、そして請求権協定が結ばれたわけでございます。日韓両国がこの両条約を法的な基盤として、半世紀以上良好な関係を築いてきたと私は思います。両国の国民の交流も年間に1千万人を超えるようになりました。そういう国民の交流があるなかで、韓国政府が一方的に国際法に違反している状況を放置しているのは、極めて問題だと言わざるを得ません。国内の裁判の判決を理由として国際法違反の状況を放置しておくことは国際的にも許されません。韓国政府がいま行っていることは、第2次世界大戦後の国際秩序を根底から覆すことに等しいものであります。大使におかれては、本国政府にしっかりとこの状況を伝達し、一刻も早く韓国政府がこの状況を是正するよう措置を取られることを強く求めます」

 南氏「河野大臣のお言葉は本国政府に伝えておきたいと思います。現在、両国間では非常に好ましくない状況が展開されています。日本側の一方的な措置によって両国民と企業が困難な状況に陥り、被害が発生しています。このように韓日関係の根幹を損なわせ、両国の基本的な関係に損傷を与える状況は一刻も早く解消されるべきだと思います。両国政府ができるかぎりすべてのレベルでの対話を通じて、速やかに解決するための努力をともにしていければと思います。また、日本側の仲裁委員会の設置要請について申し上げます。現在、懸案となっております事案は民事事件でございまして、どのように解決されるのかはまだわからない状況でございます。韓国政府は両当事者の間で納得ができ、両国関係を損なわせることなく補償が終結されますよう環境づくりのために日々努力してきております。韓国側はこのような努力の一環として日本側に韓国側の構想をお伝えしてきており、この方法を基礎としてよりよい解決策を・・」

 河野氏「ちょっと待ってください。韓国側の提案はまったく受け入れられるものではない、国際法違反の状況を是正するものではないということは、以前に韓国側にお伝えしております。それを知らないふりをして改めて提案するのは極めて無礼でございます。この旧朝鮮半島出身労働者の問題を他の問題と関連しているかのように位置づけるのはやめていただきたい。それは韓国の世論におかしな影響を与えることになります。これ以上はマスコミが退室してから申し上げましょう」

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