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高市総務相「早期議論で国際標準に関与を」 6G実現へ官民研究会

 総務省は21日、第5世代(5G)移動通信システムの次の世代である「6G」の実現を見据えた総合戦略を今夏をめどにとりまとめると発表した。高市早苗総務相直轄で官民が参加する研究会を立ち上げ、議論に着手する。2030年頃の6Gの実用化に向け、各国の開発競争が始まる中、5Gで出遅れた日本も巻き返しに乗り出す。

 総務省は東大の五神真総長を座長とし、大学研究者や民間、業界団体の代表者らで構成する「ビヨンド5G推進戦略懇談会」を設置。今月27日に第1回の会合を開く。

 高市早苗総務相は同日の閣議後会見で「ビヨンド5Gの円滑な導入は、ソサエティー5・0のさらなる進展や国際競争力の強化に不可欠だ」と語った。

 会合では6Gの性能目標や必要となる技術、期待される活用方法、政策支援などについて議論し、これらを盛り込んだ総合戦略を策定する。5Gまでの議論は通信業界が主体だったが、6Gでは幅広い業界を巻き込んだ議論とする方針だ。

 次世代の通信規格が実用化される10年前から官民での議論を始めるのは異例だ。6Gの国際標準が定まるのはまだ先だが、高市氏は「策定プロセスにわが国が深く関与していくためにも、できる限り早期の取り組み開始が必要だ」との見解を示した。5Gで米国や韓国に後れを取ったことを踏まえ、6Gでは存在感を発揮したい考えだ。

 総務省は6Gの性能について「5Gの超高速、低遅延、多数同時接続という特徴をさらに広げていく流れだ」と指摘。AI(人工知能)を活用した制御や量子暗号によるセキュリティー対策なども見込まれる。機器の遠隔操作がさらに精緻になるため、産業分野だけではなく、軍事や宇宙開発でも応用されるとみられる。

 6Gをめぐっては、中国政府が昨年11月に研究開発を国策で開始すると発表したほか、フィンランドでも大学や政府機関が参加する開発プロジェクトが立ち上がるなど、各国が30年ごろの実現に向けて動き出している。

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