海外情勢

中国で怒る市民、ネットをはけ口に

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う厳戒態勢が長期化する中国で、当局の不適切対応がインターネット上で告発され集中攻撃を受ける事例が頻発している。

 不自由な生活を強いられた市民が不満のはけ口として「炎上」を起こしている側面もあり、習近平指導部は世論管理に苦慮している。

 3月10日、湖北省武漢市で感染症に対応してきた女性医師が、感染症の流行について当局から口止めされていたと中国メディアが報道。ネット上の記事は瞬時に10万回以上閲覧され、当局の対応を疑問視する声が拡大した。

 当局は記事を削除したが、反発した市民は検閲を逃れようと英語訳を転載するなどして抵抗。この間の動向を分析した研究機関「沃民高科沃徳網情研究院」の報告書は、当初、ネット利用者の感情は感染被害への悲しみが中心だったが、検閲後に怒りに変わったと指摘した。

 中国当局は最近、感染症対応で「社会主義制度の優位性を示した」との宣伝を展開。感染が急拡大する欧米各国の苦境を強調して共産党の指導を正当化する狙いだ。

 ただ、こうした主張は海外でひんしゅくを買っており、指導部は国内外で世論を敵に回しかねない危うい状況に置かれている。(北京 共同)

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