高論卓説

新型コロナが焙り出す真実 人種差別意識と奥に潜む敵意

 今年に入ってから、中国で発生した新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るい、各国は対応に追われ、株価も急落している。新型コロナ流行に伴う大不況はリーマン・ショック以上と予想され、世界は社会と経済を根本から揺るがしかねない緊急事態を迎えている。生死にかかわる緊急事態に直面すると、平時には気付きにくいそれぞれの国家の本質と本音がおのずと見えてくる。具体例を挙げ、同時に新型コロナ終息後の日本の方向性を見通してみたい。(杉山仁)

 アメリカは14日時点で新型コロナによる死者が2万3000人を超え、国別では世界第1位となっている。死者の人種別構成を見ると人種格差社会の実態が如実に浮かび上がってくる。各州の死者数に占める黒人の比率がその州の人口に占める黒人比率を大きく上回っている。具体的にはイリノイ州では人口に占める黒人比率が30%なのに対し、新型コロナによる死者の黒人比率は72%。ルイジアナ州では同様に32%に対し70%、ミシガン州では14%に対し40%である。この事実はアメリカにおける黒人の社会的福利水準の低さを物語っている。1960年代以降、黒人に対する各種の平等化施策が50年以上実施されてきたにもかかわらず、人種格差の実態は依然として生死を左右するほど激しいものであることが分かる。

 欧州連合(EU)はイギリスのEU脱退後も、EUの結束と東方拡大をスローガンとしてきたが、新型コロナ対策として発行するEU共同債の債務分担で合意できないでいる。新型コロナ騒ぎで、EUはEU補助金目当ての弱者連合であることが明らかになった。

 またイタリアの新型コロナ死者数が世界2位であるのは、EU諸国で唯一、中国の「一帯一路」構想に参加を表明し、中国との緊密な関係を維持してきたからである。

 新型コロナ発生に対する初動措置は、中国共産党による隠蔽(いんぺい)工作のために遅れ、これが世界的蔓延(まんえん)をもたらしたとされる。中国共産党は自国民や世界の人々の安全・福利よりも党利と体制存続を優先していることが明らかとなった。新型コロナ発生当初、中国が発生源であったため、欧米でアジア人に対する嫌がらせや暴力行為が頻発した。イタリアの音楽学校では日本人留学生に対し授業中止の措置が取られた。アメリカの政府高官は新型コロナを「Pearl Harbor」と呼んだ。平時は表に出ない人種差別意識と奥に潜む敵意が浮かび上がってくるのである。

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング