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米、新型コロナの影響でキャンピングカーのレンタルと売上が急増

岡真由美
岡真由美

 米国では現在も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を奮っており、航空会社やホテルなどの旅行関連業界は大打撃を受けている。

 しかしそうしたなか、注目を集めているのがキャンピングカー(米国ではレクリエーション・ビークル「RV」と呼ぶ)だ。夏の旅行シーズンに入り、RVのレンタル需要が高まっているほか、売上も急上昇しているという。

 なぜRVが人気なのだろうか。まず車なので、飛行機や電車、バスなどの公共交通機関と異なり、他人との距離や感染を心配する必要がない。また大型のものになるとシャワー・トイレを完備しているうえにベッドもあるため、ホテルに宿泊しなくてもいい。小型のキッチンや冷蔵庫がついているRVなら、食事の心配も不要だ。車内にテーブルやソファ、テレビなどを備えているRVも多く、車というより「移動するホテル」に近い。つまり、ソーシャルディスタンスを保ちつつ旅行を楽しむには、RVは最高の選択肢なのである。

 全米の各州が徐々に規制を緩めつつあるものの、感染の脅威が去ったわけではない。夏の風物詩ともいえるサマーフェスティバルやコンサートなどのイベントがなくなり、レストランでは入店規制が行われ、店で買物をするにはマスク着用が必須だ。感染をそれほど気にせず楽しめる場所といったら、アウトドアしかない。RVは、営業の再開が始まった国立公園や、海、山、川、湖といった、自然豊かな場所へ行くにも最適な手段だ。RVはキャンピングカーという日本語名称が示すとおり、キャンプ場などで宿泊することを前提に作られた車だからだ。米国の主要キャンプ場は、RVに直接つないで使える電源や水道、トイレや生活排水を処分できる設備を備えているところが多い。場所によって料金は異なるが、1泊あたり3,000円~を支払えば、電気・水道は使い放題、キャンプ場内にある施設(洗濯機、乾燥機、シャワー、トイレなど。プールなどのレクリエーション施設を備えるところもある)も利用できる。

 米国で新型コロナウイルスの感染が広がり始めた当初は、多くのRV工場が感染防止のために操業を中止したため、RV業界の売上は一時大きく落ち込んだ。しかし、各州がステイホーム方針を打ち出してからは、逆にRVへの問い合わせが増えてきたという。

 フロリダ州タンパを拠点とする全米最大のRVディーラー、レイジーデイズの今年4月のRV売上は、対前年同月比で約40%も落ち込んだ。ところが5月に入ると需要が急増、売上は台数ベースで対前年同月比55%増、金額ベースでも36%増を記録した。

 米国のRV産業協会(RVIA)によると、2020年4月のRV出荷台数は7,197台で、前年同月の40,243台から82.1%減と大きく落ち込んだ。しかし、5月の出荷台数は27,999台で、前年同月の39,838台と比べると29.7%減ではあるものの、4月からは大幅に回復しているのがわかる。

 とはいえ、RVは決して安い買い物ではない。トラックなどで牽引する「キャンパー」や「トレーラー」、同じく牽引タイプだが大型で設備が充実した「フィフスウィール」、車を改造した「モーターホーム」など、種類によって値段は様々だが、新車であれば100万円以上はする。

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