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外国人観光客に人気地域、宿泊客回復せず インバウンド脱却急務

 新型コロナウイルス感染拡大の影響が直撃している宿泊・観光業界で、昨年の外国人宿泊客の割合が高かった都道府県ほど、宿泊客の回復が伸び悩んでいることが1日、観光庁のデータの分析から分かった。昨年の1%未満に落ち込んでいるインバウンド(訪日外国人)の回復は当面見込めておらず、宿泊・観光業界はインバウンド戦略の根本的な見直しを迫られそうだ。(荒船清太)

 観光庁が9月30日に公表した7月の宿泊施設の客室稼働率が前年からどれだけ回復したかを比べると、東京は全国最低の前年同月比26%で、大阪が29%、京都が30%と続いた。

 一方、昨年1年間の延べ宿泊者数のうち外国人が占めた割合をみると、トップは京都の39%。大阪と東京が37%で2、3位となっており、客室稼働率の回復が低迷している自治体と一致した。

 これに対し昨年、外国人宿泊者の割合が全国最低の1%だった福島は、客室稼働率が前年同月の83%にまで回復。回復率が2、3位だった島根、山口はそれぞれ外国人宿泊者の割合が下から4番目と3番目で、従来、外国人宿泊者が多い地域ほど、客室稼働率の回復率が低い傾向が鮮明になった。

 政府がインバウンドに注力した結果、全国の宿泊施設で外国人が占める割合は平成24年の6%から昨年は19%に増え、訪日外国人旅行者数も836万人から3188万人となったが、今年8月の推計値は前年同月比0・3%の8700人に激減している。

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