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今月30日から中国人向け北朝鮮観光が再開で合意? 中国代理店は否定

筑前サンミゲル
筑前サンミゲル

 いきなり観光客の受け入れ再開?

 10月26日、韓国の北朝鮮専門メディアが11月30日から北朝鮮観光を再開すると報じた。と言っても中国人向けの北朝鮮ツアー再開という話なのであるが、出張者を飛び越えていきなり観光客の受け入れ再開なんてありえるのかと疑問の声があがった。

 入国手段は中国丹東からの国際列車のみ。感染対策を徹底するため座席数は減らして徐々に増やしていく。訪問できる場所は、平壌と金剛山の2カ所限定。中国の青島地域に滞在歴がある者はツアー申し込みできない(青島は10月中旬に新型コロナウイルスの集団感染が起きたため)。旅行者が持ち込める外貨制限1万ドルを撤廃など、報じられた内容はかなり具体的だった。

 実はその後、今月11日に中朝合意は不調に終わったようだと事実上、訂正記事を出している。

 最初の記事が報じられた直後、丹東で北朝鮮旅行を手配している旅行会社へ確認すると、「そんな話は聞いていない」との回答だった。

 「中国国家旅遊局(観光庁相当)から観光再開の通知は届いていませんし、仮に(北)朝鮮へ旅行したとしても帰国したら14日の隔離を受けないといけません。隔離免除もセットで実施しないと誰も行きませんよ。そもそも中国人は冬、寒い国や地域へ旅行する人は少数です。いくら国外旅行に餓えていても行く人は少ないと思います」(丹東の旅行会社関係者)

 「敵は外」で視線を外へ

 前出の担当者によると、現在、海外からの中国入国者はホテルで14日間隔離されるのだが、どこのホテルかも告げられず連れて行かれる。しかも、滞在費は自腹で1泊およそ300元(約4750円)、食費は別で100元(約1580円)くらいかかるらしい。決して安くない。

 特に丹東からは出入国できる国が北朝鮮(国際列車)と韓国(フェリー)の2カ国しかない。現状、丹東からの入国者は、ほとんどいないだろうから防疫対策が整った隔離ホテルがどの程度あるのかも不明とのことだ。

 先月末に確認した時点でも北朝鮮観光を再開する話どころか、14日間の隔離免除の話も聞かれないとのことだった。

 現在、中国国内では新型コロナウイルスの抑制に成功し収束したとアピールを強めている。1日あたりのPCR検査での新規陽性者は20、30人台で推移している。中国国内の報道を見ると、新規陽性者のほとんどは海外からの帰国者や入国者で外からの入国者が危険だ、用心するようと繰り返し訴えている。言い方は雑だが、「敵は外」で視線を外へ向けるような意図を感じる。裏を返せば、国内は安全だ、安心しろというアピールでもある。

 そんな入国者に対して厳しい対応で徹底している中国政府が、北朝鮮観光からの帰国者だけを例外にするだろうか。さすがに中国人も疑問と不安に感じるのではないだろうか。

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