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CESや小売店でも脚光、コロナ禍で進む多種多様なアメリカ「非接触」技術

岡真由美
岡真由美

 新型コロナウイルス感染症は、人と人、また人とモノとの接触をできるだけ回避する技術を浸透させた。その代表ともいえるのが、現金を使わず(キャッシュレス)、軽くタッチするだけで決済可能なコンタクトレス(タッチレスとも)決済だ。

 そしてコロナ禍では、このほかにもあらゆる場面で、多種多様な「非接触」技術が生みだされている。

 今年はコロナの影響で、世界最大の家電展示会であるCESが、オンライン開催となってしまった。バーチャルな場でも多くの企業が新製品・新技術を発表、中には非接触を実現する新製品もあった。

 そのひとつが触れる必要のない「タッチレス・ビデオ・ドアベル」だ。アラーム・ドットコムのドアベル(インターホンのこと)はボタンを押す必要がない。来訪者はドアベルが内蔵するカメラとマイクを通じて、中にいる人と会話(こちらはスマートフォンを利用)することができる。ドアベルを押さなくても、音声で呼びかけるだけでいいので、感染の心配が取り除かれる。

 同じくCESで発表されたプロットのインターホン「エティ」は、来訪者の体温をタッチレスで測定、家の中に迎え入れるべきかどうかの判断に寄与する。また建物内に何人いるかを自動的に数えるため、レストランなどの入店管理に役立つ。同時に来訪者の入室時間、体温、顔写真を記録するので、万一感染者が出た場合、感染元の追跡にも利用できる。

 アメリカでは多くの職場の共有スペースに置かれているコーヒーメーカーも、コロナの影響でまったく使われなくなってしまった。アメリカの大手コーヒーメーカー会社、キューリグ・ドクターペッパーは2月、1杯ずつコーヒーを淹れるコーヒーメーカーに、これまでのようにタッチパネルに触れるのではなく、スマートフォンから操作できる機能を追加した。専用アプリを入れ、コーヒーメーカーのパネルにスマホを近づけて、自分が飲みたい飲み物のQRコードをスキャンすれば、コーヒーがドリップされるという仕組みだ。

 そして小売店における接触を最低限に抑える試みもさらに広がっている。

 日本よりも感染者数が多く、飲食店内での飲食の禁止期間が長かったアメリカでは(筆者の住むイリノイ州では、夏の一時期、店内での飲食が可能になったが秋に再び禁止、1月にようやく人数を制限した上での店内飲食が認められた)、ドライブスルーの利用が急増した。

 ファストフード大手マクドナルドはドライブスルーで用いる技術の革新に焦点を当てた社内チーム「マクド・テック・ラボ」を、シリコンバレーに設置。一部店舗においては、スマートフォンで事前に注文・決済した顧客専用の列を設け、顧客の車が店舗に近づいてきたらディスプレイに表示して店員に通知、客の待ち時間を最短にする実験や、注文の品を手渡しではなくベルトコンベアで渡す試みなどが行われている。

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