国内

注目の脱炭素、エネルギー安保 有権者どう判断

 31日に投開票される衆院選ではエネルギー問題も争点の一つとなる。福島第1原発事故から10年。電力各社が原発の再稼働を目指す一方、太陽光発電など再生可能エネルギーの存在感も高まっている。多くの政党が温室効果ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目標に掲げる中、有権者には生活の基盤となる電源構成をめぐる理想と現実のバランスを踏まえた判断が問われそうだ。(玉崎栄次)

 ■メガソーラー

 8千枚近いソーラーパネルが、原発事故によって休耕地となった約3万2千平方メートルの農地に広がり、秋晴れの陽光に輝いていた。

 福島第1原発から約7キロ南西に位置する大熊町の大川原地区。ソーラーパネルは、平成27年に運転を始めた「大熊町ふるさと再興メガソーラー発電所」の設備の一部で、福島県や県内の市町村などが出資する福島発電が運営している。

 「震災前まで、福島は東京などへ電力を送る電源地帯でした。原発があったから、再生エネはそれほど注目されていなかった」。同社浜通り事務所の猪狩(いがり)洋一所長補佐は原発事故前の電力事情をこう回想する。

 この発電所の出力は1890キロワット。年間に生み出される想定電力量は一般家庭約600世帯分の需要を満たせる。1基あたり出力50万~100万キロワットとされる原発とは比ぶべくもなく、夜には休止し天候にも左右されるが、それでも再生エネ電源の一端を担っている。

 猪狩さんは語る。「今や発電は環境への配慮を無視できない状況になった」

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