Fromモーニングピッチ

スポーツでイノベーション テクノロジーでwithコロナの健康促進にも貢献

杉之尾剛太
杉之尾剛太

 デロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS)です。当社はベンチャー企業の支援を中心に事業を展開しており、木曜日の朝7時から「Morning Pitch(モーニングピッチ)」というイベントを開催しています。毎週5社のベンチャーが大企業の新規事業担当者や投資家らを前にプレゼンテーションを行うことで、イノベーションの創出につなげるのがねらいです。残念ながら新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のためオンライン開催となっていますが、いずれ会場(東京・大手町)でのライブ開催に戻す予定です。

 モーニングピッチでは毎回テーマを設定しており、それに沿ったベンチャーが登壇します。ピッチで取り上げたテーマと登壇ベンチャーを紹介し、日本のイノベーションに資する情報を発信する本連載。今回はスポーツ特集です。東京五輪の開催に向けスポーツスタートアップが台頭しているため、取り上げることにしました。

 テーマ概観を説明するのはNextCore事業部の杉之尾剛太です。日本体育大学を卒業後、マーケティング会社を経てスポーツやIT、地域の活性化をキーワードに起業をしてきました。また、福岡ソフトバンクホークスや川崎フロンターレなど、さまざまなチームをサポートしながらスポーツの活性化に取り組んできたので、こうした経験を踏まえて話をします。今回は(1)スポーツイノベーションエコシステムの動向(2)スポーツスタートアップの動向(3)日本のスポーツスタートアップの課題と強み―という観点から紹介します。

 25年のスポーツ市場、3倍の15兆円へ

 政府は成長戦略である「未来投資戦略2017」で2025年までに、スポーツの市場規模を15.2兆円へと拡大する方針を打ち出しています。これは2016年の約3倍に相当する規模で、とくに積極的に投資を進めようとする領域が「スポーツツーリズム等周辺産業」という新しい産業です。

 すでに政府の取り組みも始まっており、スポーツ庁が中心となってオープンイノベーションに関するプラットフォームを立ち上げ、人材の輩出や情報の流通によってスポーツのイノベーションを活性化させようとしています。

 自治体の動きも活発です。埼玉県や大阪府は、野球やサッカーのプロチームと連携を進めながら、ベンチャーの力を活用して地域や行政関連の課題を解決していこうという取り組みも進めています。

 民間では、次世代のスポーツビジネスを創出するアクセラレーションプログラム「スポーツテック東京」が今年から開始しました。米国の投資会社と共同で、世界的なベンチャーを輩出するのが目的です。スポーツスタートアップの資金調達も進んでいます。

 ベンチャーの力でW杯ベスト8

 次にスタートアップの動向です。日本ラグビー協会は、昨年のラグビーW杯に備えユーフォリア(東京都千代田区)が開発した「ONE TAP SPORTS(ワンタップスポーツ)」というソリューションを導入しました。これによって選手のコンディショニングに成功した結果、ベスト8入りという偉業を達成しました。

 元サッカー日本代表の鈴木啓太氏が代表取締役を務めるAuB(オーブ、東京都中央区)は、京セラ、サッカーチームの京都パープルサンガと共同研究に乗り出しました。大腸に生息する細菌「腸内フローラ」のデータを活用し、18歳以下のサッカー選手のパフォーマンス向上を目指すほか、健康経営の指標づくりやトイレで便の匂いを計測し腸内フローラの傾向を判別できるデバイスの開発を進めていきます。

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