伝え方や言い回しを変えると、自分を取り巻く環境が変わり、やってくるチャンスも変わっていきます。みなさんは自分のコミュニケーション能力に自信がありますか?
この連載ではコミュニケーション研究家の藤田尚弓が、ビジネスシーンで役立つ「最強のコミュニケーション術」をご紹介していきます。
第2回は「説明」がテーマ。人事異動が増える季節には、引き継ぎや新しく入ってきた人への指導など、説明をする機会も多くなります。順を追って丁寧に説明し、質問がないことを確認したのに、後でやろうとした人がわからなくなる。これは説明の悪さのせいでも理解力の悪さのせいでもありません。
自分がわかっている事柄について説明するときにどんなことが起きているのか。3つの「罠」とその対処法を確認しておきましょう。
透明性錯覚の罠
みなさんは自分の考えていることや感じていることなどが、どれくらい伝わっていると感じているでしょうか。「その場にいたらだいたいわかるだろう」「表情から推測できるだろう」「説明したのだからわかるだろう」など、実際以上に相手に伝わっていると見積もってしまうことを「透明性錯覚」と言います。
説明をするというシーンでも、実際以上に伝わってしまうと思い込んでしまう透明性錯覚は起こります。心理学者エプリーらは、この現象は注意深くすることによりある程度防げると2004年の論文で示しています。
説明をするシーンでは、実際以上に伝わっていないということを前提にし、伝わっているはずという錯覚を減らしましょう。
あいづちの罠
あいづちには同意を伝える機能のほか、話を聞いているということを伝えたり、理解していることを伝えたりする機能があります。しかし私たちは以下のようなときにも、あいづちを使います。