視点

参院選にらむ最低賃金の攻防 生産性高める取り組みを急げ

 最低賃金をめぐる攻防が決着した。政府がまとめた「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案で、最低賃金については「より早期に最低賃金の全国加重平均1000円を目指す」と早期の達成方針が盛り込まれた。参院選を控えてアベノミクスの恩恵を地方に波及させたい政府・自民党が大幅引き上げや全国一律化を求めていた。これに対し、中小企業経営に深刻な影響を与えるとして日本商工会議所などの中小企業団体が大幅な引き上げに反対声明を出す事態となっていたが、負担が大きい中小企業に配慮した格好となった。(産経新聞論説委員・井伊重之)

 深刻な人手不足を背景にここ数年、パートやアルバイトの時給は大きく上昇している。とくに都市部では最低賃金を上回って高止まりしており、それに追い付いていない地方との賃金格差が拡大している。東京都の昨年の最低賃金は985円で、最も低い鹿児島県の761円と大きな差がついた。762円も青森や岩手、沖縄などの11県にのぼった。

 このため、自民党では最低賃金を都道府県ごとに決める現行方式を改め、全国一律に変更するように求める議連が動きを活発化。自民党は3年前の参院選で、最低賃金が低い県を中心に苦戦を強いられた経験があり、最低賃金の大幅引き上げは格好の選挙対策と映ったのだろう。

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