近ごろ都に流行るもの

肩書なくし業績アップ、トップダウンはもう古い

 企業やスポーツチームで上下関係をなくす試みが成果をあげている。上意下達の縦社会、旧来型の強権ボスが率いる組織が不祥事の温床となりやすいのは昨今のパワハラ問題でも明らか。「リーダーの限界が組織の限界」となり、個々の潜在能力を抑圧するマイナス面も指摘されている。社長以下全ての役職を撤廃し、赤字体質からの転換を果たした会社のオフィスに潜入。令和時代の組織のあり方として注目される「脱 トップダウン思考」(東京法令出版)の著者にも話を聞いた。(重松明子)

 「ケイジさん」。若手社員が呼びかける白シャツ姿の男性は、社員108人のIT企業「ISAO」(東京都台東区)の中村圭志さん(48)だ。法律上の肩書は「代表取締役」。だが、渡された名刺には役職がなく名前だけ。同社は「バリフラット」と名付けた、組織の“超”フラット&オープン化を図り、業績を伸ばしている。

 中村さんは8年前、マイナス3.4億円の赤字に苦しむ同社に親会社の豊田通商から出向して経営を任された。「根強い階層と縦割り意識に役職の多さが非効率を生み、仕事のスピードを遅らせている」と痛感。自ら社長の肩書を外した。

 同時に、権力基盤となる「上位者だけが知りうる情報」をすべての社員にオープンにすることで風穴を開けた。目指すのは「全員が対等なプレーヤーとして補完し合う組織」だ。経理、人事、営業…といった部署もなくす改革を進め、4年前にバリフラットが完成した。

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