ビジネスパーソン大航海時代

商社を経てスタートアップをハンズオン支援する起業家へ~航海(11)

小原聖誉
小原聖誉

 リスクを避けた起業はできる

 渡さんのスタートアップ支援は起業前から考えていたことなのでしょうか。

 「いえ、結果としていまの事業に落ち着いたのです」

 どういうことでしょうか。

 「実は、起業しようと思って前の会社を辞めたわけではありませんでした。あまりにもめまぐるしく日々を過ごしてきたので、少し立ち止まって自分のことを見つめ直したいと考えたのです。責任ある立場だったので当然悩みましたし、残るメンバーに迷惑もかけました。ただ、30代を迎えての『これから』について、自分の意思で再度選択したいと思ったのです」

 つまり、辞めることが先だったのですね。

 「はい。退職はしたもののやることは決まっていなかったです。ただ、ありがたいことに退職をSNSで報告したところ『ウチの会社を手伝って欲しい』という連絡を複数いただきました。家族もいるので、まずは業務委託で会社をお手伝いしながらゆっくり“自分のこれから”について考えることにしたんです」

 どのようにスタートアップ支援事業にたどり着いたのでしょうか。

 「業務委託のコンサル仕事が思いのほか増えていった一方で、事業選定は難航を極めました。投資家やスタートアップの友人の方々とあったりしながら色々と事業を模索したのですが、半年経っても『これだ!』という事業は見つかりません。その一方で、お手伝いをしている支援先からは感謝の声を日々いただき、なんとも言えないギャップが発生していました。半年くらい経った2019年1月に、『今年は市場から求められるスタートアップ支援事業に振り切ろう』と決めたのです」

 なるほど。コンサルそのものを事業化したわけですね。今はどんなお気持ちですか?

 「スタートアップ支援に本気で取り組んで良かったです。なにより、クライアントから感謝してもらえる。自分の得意なこと、価値が発揮できることが見つかった気がして、人生ではじめて自分に期待している気がします」

 社名にも渡さんの想いが込められています。

 《私たちが存在することで「あぁ、悩んでいるのは自分だけではないんだ」と勇気を感じ、エネルギーを見出し、社会をより良い方向へ導いてくれる大人が一人でも生まれてほしい。そういう想いから、“where I belong = wib”という会社名を付けました》(wib社のHPより)

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