書評

『「抗日」中国の起源 五四運動と日本』武藤秀太郎・著

 ■100年を機に新たな角度で考察

 1919年5月4日に起きた「五四運動」。第一次世界大戦の終結に伴うパリ講和会議で、ドイツが有していた山東省の権益の日本への移譲が認められたことから、北京大学生らが始めた反日運動だ。中国近代史の転換点となった歴史的事件について、100年を機に新たな角度から考察する。運動の担い手たちと大正デモクラシーの関連性を指摘。一方、ボタンの掛け違いで運動が過激化。襲撃に参加した学生が罪に問われず英雄としてたたえられ、それが21世紀の抗日デモにみられる「愛国無罪」の原型に-との見方は興味深い。関連研究の活発化も期待したい。(筑摩選書、1700円+税)

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