社長を目指す方程式

大坂なおみを世界1位にしたコーチから学ぶ「スター社員」の育て方

井上和幸
井上和幸

 経営者と近い感覚

 まず本書の冒頭で紹介されるのが、

 「この世には自分の力では左右できないことがあるという事実を認める」

 ことが、強いメンタルを手に入れるために最も大事だという話。いきなり、ガツン!と衝撃を受けました。「まさに!」。

 私たちは日頃、いかに自分では直接どうしようもないことについてあれやこれやと悩み、不満を持ち、なんとかしたいと思い込んでいることか。

 サーシャは、テニスのコーチをしていて一番辛いのは、観客席で試合を観なければならないことで、ただ座っているだけで、担当選手に対して試合中、なんの手も足も出ないのがなんともやりきれないと言っています。

 これは経営者が社員たちに対して、あるいはマネジメント専任となった上司が部下たちに対して感じることと非常に近しい感覚だと思います。

 またテニスの試合にも、私たちのビジネスにも、相手(敵、競合)がいます。「どんな手で出てくるのだろう、どう対応しよう」-。あれやこれやと相手の出方を想像しては気を揉み続け、夜も寝付けない。

 戦略戦術を考えることは大事ですが、相手がどう考えどう行動に移そうとしているのか、そのこと自体をコントロールしたいと考えてしまうようなことはそもそもできないことで無駄なこと。

 「自分の力で左右できることには限りがある。他者の出方、能力について思い悩むのは時間の無駄。その事実を受け容れてしまえば、その場の感情に流されることもなく、集中力が途切れることもない」(『心を強くする』)

 「すべてが願い通りには進まない」と最初に諦めておくことで、平常心が保て、自分はただ自分がコントロール可能なことだけを考え行動すれば良いのです。

今回の社長を目指す法則・方程式:

サーシャ・バイン「Strengthen Your Mind(心を強くする)」

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