社会・その他

いじめ・不登校が過去最多 平成30年度、静岡県の公立小中校

 平成30年度の県内公立小中学校のいじめ認知件数は小学校が前年度比82・6%増の1万2835件、中学校が同22・0%増の3722件と大幅に増加し、いじめの定義が厳格化された25年度以降最多だったことが、文部科学省の調査で分かった。小中学生の不登校も10年度の調査開始以降で最多だった。前年度には減少した暴力行為は、小中学校ともに再び増加に転じた。

 いじめが過去最多を更新したのは、小学校は5年連続、中学校は4年連続。県教育委員会は「初期段階のものまでいじめとして認知し、重篤化する前に対応することが浸透してきた。認知件数の大幅な増加は、学校が安定して対応しているからではないか」と分析した。

 いじめ発見のきっかけは小学校の半数以上、中学校の3割以上が児童生徒や保護者に対するアンケートだった。内容別では、ひやかしやからかい、悪口を言われるといった比較的分かりやすく認知しやすいものが増えていた。一方で、表面化しにくく深刻になりがちな「パソコンや携帯電話などでの誹謗(ひぼう)中傷」も、小学校では前年度から倍増していた。スマートフォンや携帯電話の使用の低年齢化が影響しているとみられる。

 さらに、いじめの解消率が小中学校ともに向上していないことも懸念材料だ。解消率は小学校で5・5ポイント、中学校は0・8ポイント、前年度を下回った。いじめの解消は「少なくとも3カ月間、該当行為がなく、本人と保護者が苦痛を感じていないと面談などで確認できる状況」と定義されている。県教委では「学校側の判断だけでは解消とみなされない。本人や保護者が不安を感じていれば継続して支援している」と話す。

 不登校については、小学生が1706人(前年度比18・9%増)、中学生が3984人(同10・3%増)で、ともに6年連続で過去最多を更新した。小学校では2、3年生の不登校児童の割合が増えており、低年齢化の傾向がみられる。

 中学校では一度不登校になると学校への復帰が困難になる傾向が強い。中学1年の不登校生(1027人)が小学6年の不登校生(435人)に比べてかなり多いことから、小学校から中学校への環境変化に適応できない「中1ギャップ」が大きな要因だと推測できる。

 暴力行為の発生件数は小学校が1652件(同57・3%増)、中学校が1307件(同9・6%増)と、ともに前年度より増えていた。小学校では教師への暴力が倍増しており、児童同士の暴力も多かった。

 この調査は全国調査に合わせ、県内の公立小中高校と特別支援学校の計約919校を対象に行われた。

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