書評

『ウイグル人』トルグン・アルマス著、東綾子・訳

 ■悠久の歴史つづる「伝説の書」

 米下院は昨年12月、中国新疆ウイグル自治区で少数民族のウイグル族を弾圧する中国当局者に制裁を科すよう米政府に求める「ウイグル人権法案」を可決した。チベットや香港と並んでウイグルにおける人権問題は今、国際社会の厳しい目にさらされている。

 本書は、ウイグル人がウイグル語で古代から中世までの民族悠久の歴史をつづった本の日本語訳である。1989年に刊行後、中国当局によって発禁処分になったが、「伝説の書」としてひそかに受け継がれてきた。漢民族側の歴史観によらない物語は、現代に起きている問題を知る一助になるだろう。(集広舎、4545円+税)

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