書評

『ニコラエフスクの日本人虐殺 一九二〇年、尼港事件の真実』

 ■730人超犠牲 残虐さ浮き彫り

 大正7(1918)年、日本軍はロシア革命の内戦に介入する形で、欧米諸国とシベリア出兵を行う。その過程で9年にロシア極東のニコラエフスク(尼港(にこう)、樺太島の対岸)で起きた赤軍パルチザン(革命派)による大虐殺が「尼港事件」である。街の人口の半分約6000人が犠牲となり、日本人は守備隊、領事一家や居留民まで730人以上が殺害された。

 1924年にベルリンで出版された本書の著者は白系ロシア人ジャーナリスト。関係者の証言や資料により、残虐非道な事件の真相を浮き彫りにしてゆく。日本人が決して忘れてはならない事件の一つだ。(勉誠出版、3800円+税/アナトーリー・グートマン著、長勢了治・訳)

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