働き方ラボ

コロナ時代に誰とどう付き合うか 「友達」について考えなおそう

常見陽平
常見陽平

 一方、コロナショックにより、飲み会などの誘いが減って、むしろ喜んでいる人も周りにいる。会いたくもない人、会っても同じ話ばかりする人にお金と時間を過剰にかけていたのではないか。

 「友人分析」をしてみよう

 コロナショックを受けて、友人関係をどうするか。立ち止まって考えよう。私は、友人分析をすることをオススメする。まず、黙って自分が把握しているすべての連絡先を眺めてみよう。スマホの連絡先、SNSでつながっている友人、年賀状のやり取りをしている人などだ。これらを眺めるだけでも発見はある。連絡をとる頻度、会う頻度、関係性などを考えてみよう。

 その上で、自分が理想とする人間関係を考えてみよう。この答は簡単ではない。前提として、友達を値踏みすることに抵抗を感じる人もいるだろう。言い訳のようだが、私も値踏みをしているわけではない。ただ、言えるのは、自分にどのような友人がいてほしいかということだ。競い合うライバルも、刺激を受ける相手も、安らぎを感じる人も、昔話をする人も、それこそ飲みながらバカ話をする相手も、それぞれ必要だ。さらには、その人たちとどのような付き合い方をしたいかを考えたい。頻度高くリアルでも、ネット上でも接触を持ちたいのか、あくまでネット上だけでいいのか、それほど頻度高くなくてもいいのかなどだ。もちろん、これらは完全にコントロール可能なわけではない。ただ、まずは立ち止まって分析してみることが大事だ。現状がどうで、本当はどうありたいかを考えてみよう。

 私に起きた変化

 さて、コロナショックを経て、私の友人関係はどう変わったか。結論から言うと、あまり人に会わないことにした。これが私の変化だ。もともと年齢的なこともあり、人と会う気力、体力が落ちてしまった。1年半前に酒を一切やめたことや、子育ての事情もある。

 また、SNSへの投稿の絶対数を減らすことにした。SNSに投稿すると、友人やそれ以外を含め、やりとりが増える。自分の時間を増やすために、優先順位を下げた。そもそも、仕事以外で自分から連絡をするという行為をほぼやめた。でも、自然な形で連絡をとりたい人からはメッセージが届くので、そのやり取りをするだけで心は満たされている。

 一方、大きな変化は、近所に友人が住んでいる環境に身をおくことにしたことだ。大田区に引っ越しをした理由の一つは、近所に友人が多数住んでいるからだ。移動時間10分以内で会える友人が多数いる。これは大きな変化だ。会いたいときに人と会えることにより、心が満たされた。実際、楽しい近所付き合いをしている。ある意味、SNS登場以前の人間関係に戻ることができたとも言う。

 なんせ、心と身体の健康が大事である。ズッ友との接点が減り、ヨッ友がいない生活で苦しんでいる若者がいることには心から同情する。一方、そもそも自分はどのような人と、どのような関係性で付き合いたいか。立ち止まって考えてみよう。

常見陽平(つねみ・ようへい)
常見陽平(つねみ・ようへい) 千葉商科大学国際教養学部准教授
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部准教授。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら

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