社長を目指す方程式

コロナ後の切り札として脚光 「発見力」を高める5つのスキル(後編)

井上和幸
井上和幸

 《今回の社長を目指す法則・方程式:クレイトン・クリステンセン「イノベーションのDNA」》

 前回(前編)の記事で、「発見力」を高める5つのスキルとは何か、いかに発揮されるについて、まずご理解頂きました。「なるほど、5つのスキルのことは分かった。でも、自分はそのようなスキルを持っていないし、どうすればよいのだろう」、そんな読者の上司諸氏もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。クリステンセン氏らは、この5つのスキルは決して「天性のセンスによるもの」ではなく、個人としても意識して身に付けることができ、組織としても培うことのできるものだと言います。

 稀代のイノベーターたちが共通して語った「3Pの枠組」

 クリステンセン氏らは『イノベーションのDNA』を著すにおいて、アマゾンのジェフ・ベゾス、セールスフォースのマーク・ベニオフなど世界を代表するイノベーションを起こした錚々たる経営者(その多くが創業者であることにもイノベーターの秘密・秘訣は関連づけられているようです)に直接インタビューを行い、また故スティーブ・ジョブズ、リチャード・ブランソン、ハワード・シュルツなどが残した多くの発言記録や自伝などからも引用を試みて、イノベーターが共通して発揮する「発見力」とそれを高める5つのスキルについて見出しました。

 これらのイノベーションに秀でた創業者たちに、イノベーティブな組織やチームを作る秘訣は何ですかと尋ねると、彼らからは判で押したように同じ答えが返ってきたと言います。

 「彼らは自分に似た(つまりイノベーションに秀でた)人材を集め、自らも活用するイノベーションに必要なスキル(質問力、観察力、ネットワーク力、実験力)を高めるプロセスを導入し、哲学(社員の一人ひとりに、イノベーションを起こし、スマート・リスクをとるよう奨励する文化)を育むことの重要性を一貫して力説した。また最もイノベーティブな企業ランキングに入った、その他の企業の観察結果からも同じことが明らかになった」(『イノベーションのDNA』)

 ここからクリステンセン氏らは、これらを組織的に高めるには「人材 People」「プロセス Process」「(企業の)哲学 Philosophy」の3つからアプローチすればよい(「3Pの枠組」)ことを明らかにしました。

 あなたの会社・組織のイノベーティブ度チェック

 読者の皆さんが、自社や自組織・チームがイノベーティブであるか、あるいは転職先がイノベーティブであるかをチェックするには、この3Pを確認するのがよいでしょう。

・経営陣や組織リーダーが自らイノベーションの陣頭指揮を執り、発見力に優れている(人材)

・イノベーションプロセスのすべての管理者レベル、事業分野、意思決定段階に発見力指数の高い人材が適切なバランスで配置されるように常に気を配っている(人材)

・従業員に関連付け、質問、観察、ネットワーキング、実験を明確に促すプロセスがある(プロセス)

・発見志向型の人材を採用、養成、優遇し、昇進させるためのプロセスがある(プロセス)

・企業、組織が4つの指針となる哲学によって支えられている(哲学)

 (1)イノベーションは全員の仕事であって、研究開発部門だけの仕事ではない

 (2)破壊的イノベーションにも果敢に取り組む

 (3)適切な構造をもった少人数のイノベーション・プロジェクト・チームを数多く用いる

 (4)イノベーションの追求においてはスマート(賢い、賢明な)・リスクをとる

 皆さんの会社や組織はどうでしょう? 上司の皆さんご自身は、こうしたチームを作っていますか? 作ろうと試みてるでしょうか?

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