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なぜビジネスパーソンは「ゴルゴ13」を読むべきなのか? 漫画に見る時代の変遷

常見陽平
常見陽平

 かつては表現に問題があった時代も

 少し前の作品を読むと、コンプライアンス上問題のある表現を見かけることがよくある。性的な表現・暴力的な表現・差別的な表現の他に、作品の中での女性や子供の立場などもそうだ。文庫化された漫画などでは「収録されている表現は、作品の執筆年代・執筆された状況を考慮し、コミックス発売当時のまま掲載しています。」という表記を見かけたことがある人もいることだろう。これらの変化を「いろいろうるさくなったんだな」という話でまとめてはいけない。人権については、今よりもずっと無頓着な時代があったこと、それを人々が変えてきたのだと理解したい。

 先日は、森喜朗氏の「女性蔑視」ともとれる発言が国境をこえて問題視された。容認するわけではないが、少し昔の作品を読んでみると、このような考えに染まっている人が中高年には一定数いるということが想像できる。

 漫画を読むということは、こうした時代の流れとも向き合うということである。ポジティブに捉え、コロナ禍の息抜きにも活用したい。

 中年はなぜ『ゴルゴ13』を読んでしまうのか

 緊急事態宣言が発令される中、私がハマってしまった漫画は、弘兼憲史による中高年の恋愛を描いた『黄昏流星群』と、50年以上にもわたり続いているさいとうたかをの『ゴルゴ13』である。

 前者はこの1ヶ月半で63巻、つまり全巻読んでしまった。中高年になり、子供の独立、自身の定年退職やリストラによって人生を考えたときに、老いらくの恋に燃えるというパターンである。すべて読み切りの短編作品である。ただ、ワンパターンかというと、そうでもなく、ホラーやSFのようなストーリーもある。恋愛中毒ぶりに若干、ひいてしまう回もあったのは事実だが、とはいえ「人は誰と生きるのか」というテーマについて考えてしまった。

 それにしても、『ゴルゴ13』である。現在、199巻発売されているこの作品はさすがに全部読むことはできなかった。ただ、思わず街の中華料理屋やラーメン屋などでこの作品が置いてあると読んでしまう理由がわかった気がした。所詮、フィクションではある。ただ、毎作品シナリオライターを立てており、リアルだ。ここで描かれるものを鵜呑みにしてはいけないものの、時代の移り変わりなどを学ぶヒントや、国や文化について知るキッカケにはなる。なにせ50年以上続いている作品である。様々な時代の作品を読んでみることにより、国際情勢の変化を学ぶこともでき、参考になる。

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