時代の人日本を面白くする企業

高橋秀幸

「次代の日本を担う人財を育てたい」 学生向け人財養成塾を始動

  ―「One-Will」について、もう少し詳しく教えてください

 「次代の日本を担う人財」を社会に送り出すことを目指した、大学生対象の人財養成塾です。「自分はこれから何を目指して生きるのか、働くのか」というテーマに向き合い、将来の夢や志、目標を明確にするための環境を提供します。

 今年7月から本開講で、3カ月の期間中に「著名な経営者の講演を聞き、人生の指標となる価値基準を身に付ける講義」「次代を担う有力ベンチャー企業での調査型職場体験」「自己分析を通じて『なりたい自分の姿』を導き出し、人生設計を行う講義」の3つのカリキュラムを提供して、入塾生に社会人としての基礎力を身につけてもらいます。

 「One-Will」は、学生、大学、企業の3者をつなぐ場であると同時に、それぞれの足りない部分を埋める役割を果たします。

 大学は就職実績を引き上げたくても、大学の指導内容だけでできるものではありません。学生は、今の教育システムの中では「何のために生きるのか」や「企業の見極め方」を教わりません。企業は、よほど著名な企業でない限り、多くの学生に事業内容や理念を正しく認知してもらうことができず、求める人財に巡り会うことができません。「One-Will」は、こうした現状を補完していくことができるのです。

―今後、どのように事業展開をしますか?

 「One-Will」については、全国800大学との提携を目指します。すべての大学生が「One-Will」を受講し、各大学での単位修得を実現します。今年の11月末、新たに出版する書籍をテキストとし、全国への普及を考えています。

 秀實社としては海外展開を加速します。今年7月よりミャンマーに進出し、日本で人手不足に悩む業界に、徹底教育したミャンマー人を紹介していきます。日本からミャンマーへの進出支援も行います。

 「グローバル企業」を提唱し、海外進出を考えている日本企業は、まず人財を海外から受け入れることから始めるべきであると考えます。社内に外国の人財が1人いるだけで、雰囲気は大きく変わります。

 秀實社も内定者に海外留学生が1人います。彼女は日本語を習得中でありながら、日本語で議事録を書くことができ、日本語でのテレマーケティングを行えます。彼女の存在は他の内定者、社員に良い「刺激」であり「教材」になっています。

―特徴的な会社の制度は何でしょう? 社風は?

 特徴的な制度は「職務給」です。内定者だから給与が低いとか、3年在籍しているから管理職になれるといった、年功序列ではありません。担当する「職務」に給与を支払っているのです。

 既に就業中の大学4年生の内定者には一定の目標を与えています。彼らはその目標達成のために、企業に電話をかけてアポイントをとり、1人あたり毎月50社のインタビューに出向いています。

 社風は「自己規律・立」です。各自が秀實社の未来を担うために自己研鑚している、ということです。

 私はテレビドラマの「海猿」が好きで、社内合宿でも毎回社員と共有します。海難事故での救命活動をしている潜水士達は、使命感に燃え、命懸けで厳しいトレーニングを行っている。秀實社でも、使命感に燃え、教育事業に人生を懸ける社員を育てていきます。そして、同じ価値基準を持つ仲間を増やし、組織力を強化していきます。

―座右の銘は

 「情けは人のためならず」。企業が自社だけの利益を求めるのは不自然であると、以前から考えています。企業は公器でなければなりません。百年以上続いている企業は、地域社会、取引先、社員など、すべてのステークホルダーからの満足度が高いのです。周りに貢献し続けなければ、企業は生き残れないのです。周りに貢献することで、自社も生き残ることができる、ということです。

 「強く生きる」も好きな言葉です。「One-Will」でも特に強く伝える点ですが、人は自分がどのような人生を歩みたいのか、まず明確にしなければなりません。働くにあたっては、事前に自分を見極め、プロ意識を持ち、即戦力として役立つ必要があります。


高橋秀幸氏

「One-Will」で学生、大学、企業の未来を切り拓く

  ―最後の質問です。さらに日本を面白くするため、手がけていきたいことは何でしょうか?


「すべての学生にOne-Willを」です。

 就活が抱えている問題の原因や背景として、就活の期間が注目されていますが、それだけではなく、大学教育、高校までのキャリア教育の問題、さらには社会全体を通じた構造的な問題があると考えています。この社会問題を改善するために、次代人財養成塾「One-Will」を設立しました。先ほども話しましたが、学生、大学、企業の3者間を「つなぐ」役割を果たすのが、「One-Will」です。

 「何のために働くのか」「生きる目的は何か」を真剣に考え、人生で一番長い時間を過ごす職場を、笑顔あふれる場に変えていく。それが私たちの使命であり、願いです。

<了>

(取材 文/産経編集センター 撮影/産経デジタル)

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