働く、が変わる TELEWORK

11月はテレワーク月間 働き方に多様性 誰もが活躍できる社会に

少子高齢化や情報通信技術の進歩により私たちの社会が大きく変化する中、時間と場所にとらわれない柔軟な働き方を実現する「テレワーク」への注目が高まっている。総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省と学識者、民間企業で構成する「テレワーク推進フォーラム」は11月を「テレワーク月間」として、テレワークの普及推進活動の月に定めた。テレワークはすべての人の働き方に多様性をもたらし、様々な人々に新しい活躍の場を提供できる手段としての可能性を秘めている。誰もがいきいきと活躍する社会の実現のため、テレワークが果たす役割とはどのようなものなのか、その可能性を探る。

在宅テレワーカー比率を10%超に

政府はデフレからの脱却に向けてアベノミクスを推進してきた。ゆるぎない経済の好循環を実現するため、今年6月に発表した「世界最先端IT国家創造宣言」では雇用形態を多様化してワークライフバランス(仕事と生活の調和)を実現することを宣言。2020年にはテレワーク導入企業数を2012年度比で3倍、全労働者に占める週1日以上終日在宅で就業する雇用型の在宅テレワーカーの数を10%以上にするといった具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定して取り組んでいる。

背景には人口減少、少子高齢化といった社会構造の変化がある。育児や介護と両立しながら働く人が増えることも予想され、女性や若者、高齢者といった多様な人材力を発揮することが日本経済の成長にとって欠かせなくなってきている。またグローバル化が進み、優秀な人材の確保といった観点からも国を挙げて働き方の改革に取り組む必要がある。様々なバックグラウンドや価値観をもつ人々がいきいきと働ける環境づくりが日本に求められている。

導入で企業の生産性向上

政府の取り組みに賛同して、テレワークを導入する動きが企業で広がっている。総務省の「通信利用動向調査(2014年度)」によると、企業の導入目的で最も多いのは「定型的業務の効率性・生産性の向上」で51%。「勤務者の移動時間の短縮」が45%、「非常時の事業継続に備えて」が23%と続く。

実際にテレワークを導入した企業にその効果をたずねたところ、84%が「効果があった」と回答している。生産性の向上で企業競争力の強化につながったり、移動時間の短縮で生まれた余暇で学習や趣味、家族との時間を増やすなどワークライフバランスを実現した事例もある。また、いつでもどこでも業務を遂行できるテレワークの特性から、災害時の業務継続にも有効である。

しかし、導入に向けては課題も少なくない。新しい取り組みであるテレワークをどのように進めていけばいいのか。

一般社団法人 日本テレワーク協会
会長 宇治則孝氏
(NTT顧問)

経営戦略としてのテレワーク

日本の企業ではいま、ワークスタイル変革が求められています。社会として労働力の減少傾向が続く一方でビジネスのグローバル化が進み、企業の競争力を高めていくためには、世界に通用する働き方が必要になるからです。女性の活躍する場の拡大をはじめダイバーシティに対応するためにも、テレワークをツールとした新しい働き方への取り組みが求められています。

ワークスタイル変革は企業の経営戦略とも密接に結びついており、私が参加する経済同友会をはじめ、多くの経営者が働き方を革新していかなければ生産性の向上など企業の国際競争力を高められないだけではなく、国内外から優秀な人材を確保できないという危機感を抱いています。すでに欧米ではテレワークはあたりまえであり、自らの仕事の生産性や創造性を発揮し、ワークライフバランスを維持するためにはテレワークが必須の働き方となっています。日本でも多くの企業で取り組みが進んでおり、有能な社員がテレワークができる会社かどうかで就職先を選ぶ事例も出て来ています。

また、経営者のテレワーク推進マインドだけではなく、働く人たちの意識改革も重要になっています。場所や時間にしばられないテレワークを導入しても、その環境を活用できる自立的な社員が育たなければ経営者の求めるビジネスの競争力にはつながりません。日本テレワーク協会としても経営層と働く人たちという両面からテレワークの意義や目的、取り組むための課題などを啓蒙していかなければと思っています。

テレワークを一般化させるためには、IT環境や制度の運用面をコーディネートできる人材を育成し中小企業でも導入できるような施策も考えていかなければなりません。11月のテレワーク月間が多くの経営者や働く人たちにとって、ワークスタイル変革の価値を知ってもらう良い機会になればと願っています。