Fromモーニングピッチ

超高齢化社会の必然 ケアテックベンチャーは最先端技術で課題解決に挑む (2/2ページ)

前出忠彦
前出忠彦

 AIの活用も相次ぐ

 スタートアップと大企業や自治体との協業事例も相次いでいます。IoTベンチャーのチカク(東京都渋谷区)とセコムは、高齢者向けの新サービス「まごチャンネル with SECOM」を開発、セコムを通じて販売を開始しました。動画や写真などを通じてコミュニケーションを楽しみながら、見守りができるのが特徴です。

 見守りセンサーシステム事業などを展開するエコナビスタ(東京都千代田区)はヒューリックと提携し、AIやIoTを活用したスマートシニアハウジング構想に着手しました。神奈川県ではエクサウィザーズ(東京都港区)が開発を進める要介護度予測AIの実証事業を行いました。

 今回は成長著しいスタートアップ群の中から人材不足などの市場課題を踏まえ、ロボットやAI事業などを展開する5社を紹介します。

 上り坂も快適な“手押し車”

 RT.ワークス(大阪市東成区)は、高齢者が外出の際に活用する手押し車「シルバーカー」の弱点を克服した、歩行アシストロボット「RT.2」を販売しています。上り坂ではパワーアシストが働いて楽な歩行を実現する一方で、下り坂では自動ブレーキで減速。坂の途中で手を放してしまっても、センサーによる感知で自動停止します。すでに介護市場で5000台の販売実績があります。

 IoT見守り

 高齢者の体調の急変や事故を未然に防止する次世代型見守りサービスを提供するのが、エコナビスタです。大阪市立大学と共同開発した独自のアルゴリズムによって、疲労回復や快眠など健康維持のための指数を用いてデータを解析し、健康面でのアドバイスを行います。睡眠と疲労回復に影響を及ぼす製品や食品を共同開発するため、アパレルや寝具、食品メーカーとの協業にも取り組む考えです。

 分身ロボット

 利用者のもう一つの身体として、あたかもその場にいるようなコミュニケーションが可能な分身ロボット「OriHime」シリーズを展開しているのが、オリィ研究所(東京都港区)です。ロボットにはカメラやマイク、スピーカーが搭載されており、タブレット上のアプリを通して直感的に操作を行えます。難病など身体的なハンディキャップがある人はもちろん、健常者の新しい働き方にも寄与します。

 施設と潜在介護士のマッチング

 介護人材不足の問題を解決するため、介護ワークシェアリングサービス「カイスケ」を展開しているのがカイテク(東京都港区)です。人手が不足している介護施設と、空いた時間を有効活用したい介護士や看護師との間を、単発案件に絞り直接的にマッチングする仕組みです。「慢性的な労働力不足」といった事業所の課題と、介護士の「副収入を得たい」「複数の事業所を見比べたい」といったニーズに応えます。

 約10秒で尿を解析

 ユカシカド(東京都渋谷区)は、採尿を通じ栄養の過不足を評価できる世界初のパーソナル郵送キットを提供しています。1週間程度でスマートフォンやパソコンから結果を閲覧できる点が特長です。また、簡易版もリリースしました。専用の検査シートに尿をつけ、シートの変色具合を専用アプリで読み込むと約10秒で解析が完了するので、ビタミン・ミネラル・食事の質などを評価できます。

 COVID-19に罹患した場合、高齢者や基礎疾患を持つ人の致死率が高いため、高齢者・介護施設では、より高度な対策が求められます。それだけに、ケアテックベンチャーのさらなる飛躍に注目が集まります。

京都大学大学院工学研究科卒。2015年PwCコンサルティング合同会社入社。自動車部品、アパレル業界、医療機器メーカーなど様々な業界・分野にてサプライチェーン、間接材コスト削減をはじめとした様々なマネジメントコンサルティング業務に従事。2019年8月デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社入社。大企業とスタートアップとのオープンイノベーション推進に向け、協業プラン、事業計画の伴走支援に従事。

【Fromモーニングピッチ】では、ベンチャー企業の支援を中心に事業を展開するデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)が開催するベンチャー企業のピッチイベント「Morning Pitch(モーニングピッチ)」が取り上げる注目のテーマから、日本のイノベーションに資する情報をお届けします。アーカイブはこちら

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus