Fromモーニングピッチ

次世代ファーム、ロボット、バイオ…アグリ系ベンチャーが日本の農業を支える (1/3ページ)

青砥優太郎
青砥優太郎

 デロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS)です。当社はベンチャー企業の支援を中心に事業を展開しており、木曜日の朝7時から「Morning Pitch(モーニングピッチ)」というイベントを開催しています。毎週5社のベンチャーが大企業の新規事業担当者や投資家らを前にプレゼンテーションを行うことで、イノベーションの創出につなげるのがねらいです。残念ながら新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のためオンライン開催となっていますが、いずれ会場(東京・大手町)でのライブ開催に戻す予定です。

 モーニングピッチでは毎回テーマを設定しており、それに沿ったベンチャーが登場します。ピッチで取り上げたテーマと登壇ベンチャーを紹介し、日本のイノベーションに資する情報を発信する本連載。今回は「アグリ(農業)」です。テーマ概観を説明するのは、イノベーションプロデュース事業部の青砥優太郎です。大手企業に対し農業分野での新規事業の創出支援やアグリベンチャーへのハンズオン支援などに従事しています。

環境・気候リスクへのヘッジが必要

 まず、日本の農業を取り巻く世界環境の変化についてみてみましょう。

 日本は米国、中国という農業大国の政策・規制に左右されやすい体質です。このため、それに振り回されにくい輸入体制を構築するのと並行して、新たな生産体制の確立が重要になっています。

 また、世界的な人口の増加と所得層の変化によって食料需要が増える一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が資材調達から1次・2次加工に至るまでのバリューチェーンに大きな影響を及ぼしており、環境・気候リスクに対する、より一層のマネジメントが必要になってきます。

世界的な食習慣の変化に先手を

 社会的観点からみると、グローバルな食習慣の変化や社会課題などに先手を打っておくことが重要です。例えば欧米だと健康志向の高まりから牛肉離れが進み、大豆加工食品という新しい形のタンパク質に対する需要が急増しています。一方、中国では中間所得層の増加に伴い肉の消費量が伸びています。こうした動きを踏まえ約300の大手企業、非営利団体、研究機関が植物性代替肉の開発、スタートアップへの投資、販売を行っています。

農業テクノロジーが続々と登場

 技術面では従来の農法や農作業を抜本的に変えるような農業テクノロジーが続々と登場しています。例えば米国農家による次世代技術の導入状況をみると、GPS(全地球測位システム)による自動操縦の比率は2015年が52%でしたが2018年は64%、資材の投入を管理・調整する可変作業技術(VRT)を活用し肥料散布する割合は32%から48%へと拡大しています。もっとも費用対効果に課題が残るので、生産者から技術の信頼を得ていくことが必要な局面にあります。

 次に国際的な市場規模とスタートアップへの投資実績を見てみましょう。

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