TMIP通信

不採算事業の切り出しではない カーブアウトが新規事業の創出・成長を加速 (1/3ページ)

 「カーブアウト」は従来、企業の不採算事業の切り出しというネガティブとも取れる形で利用されてきた手法ですが、近年は新規事業の成長プロセスの手段としても利用されています。今回はカーブアウトの積極的な活用法を紹介します。

OSを変える手段

 今年3月、オンラインで「カーブアウト」をテーマにしたTMIPセミナーが開催されました。登壇したのはカーブアウトをポジティブに活用されている方々です。

 東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)の水本尚宏氏は、企業がカーブアウトをする意味を「組織のOSを変更するための手段」と表現し、「成熟企業はその事業に最適化されたルールやカルチャーが渾然一体となっていますが、全く行ったことのない業種を行う際にはそうした土台、コンピュータでいうところのOSを変えていく必要がある」と解説。そのために行われる手法の1つが今回のテーマであるカーブアウト、と言及しました。

 「カーブアウトはオープンイノベーションを推進し、新しい事業を作っていく上で必要不可欠と考えています」

広範な企業との連携が可能に

 具体的な成功事例を最初に紹介したのはOnedot株式会社の鳥巣知得氏。中国で展開する育児メディア「Babily」を運営する万粒の代表も務めています。

 「当初はユニチャームの子会社という形でスタートしました。Babilyは中国の約40のSNSを利用して展開しているのですが、その際にメディアとしてより中立的になり、より広範な企業との協業や連携をしやすくするためにカーブアウトを選択しました。それにより、より大胆な意思決定ができるようになったり、様々な面でスピードアップが図れたりするようになりました。カーブアウト後は親会社の利益のみならず、より中立的に、もしくは相反する考え方もバランスを取りながら事業を進めていくことができるようになったのが、会社として大変大きな成長だと思っています」

 2人目は株式会社トレードワルツの小島裕久氏。トレードワルツはNTTデータの子会社としてスタートし、現在は7社が出資する貿易コンソーシアムを事業主体とする企業です。

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