STARTUP STORY

水道いらずの水インフラで被災地を救うWOTA 次の使命は、後継者が不足する水処理業界のDX (3/3ページ)

TOMORUBA
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ーー災害時以外ではどのようにサービスを展開しているのですか。

前田: 自治体と組んで被災地向けのサービスを展開できたことで、「災害時に使えるなら日常的にも使えるよね」という議論に発展していきました。今はキャンプ場など、日常における屋外での利用を普及しています。屋外で普及した後には、屋内での利用も広げていきたいと思います。

水処理業界をDXする新サービス「WOTA PLANT」

ーー2020年12月には「WOTA PLANT」もリリースしていますね。どのようなサービスか教えて下さい。

前田: これまで私達が開発してきた製品で培った技術やシステムを、大規模な水処理場にも活用したのが「WOTA PLANT」です。「WOTA PLANT」は、これまで人の手によって行われてきた水処理作業をDXするサービスになります。

そもそも水処理場での仕事というのは、酒蔵で美味しいお酒を作るのと同じようなものです。専門技術者の方々が、酒蔵の職人のように五感も使って水の状態を把握し、必要に応じて薬剤や制御を加えていきます。私達が開発したWOTA PLANTは、その専門技術者の仕事をセンサやAI技術によって行うためのものです。これまでは持ち運べる小さなプロダクトで作ってきましたが、その技術を何千倍もの規模の水処理場向けに使うのが「WOTA PLANT」になります。

ーー「WOTA PLANT」が導入されることで、水処理業界はどのように変わっていくのでしょうか。

前田: シンプルにいえば水処理業界がDXされるため、働き方も水処理のコスト効率も変わります。例えば現在、水処理業界が抱えている大きな課題の一つが人材不足です。後継者がいないため、これまで何十年もかけて培われてきた、それぞれの水処理場でのノウハウが継承されないという課題に直面しているのです。水処理場ごとに、水の中の微生物が違えば設計も制御の仕方も違うため、ノウハウが途絶えるのは大きな問題なのです。

「WOTA PLANT」が導入されることで、これまで属人化されてきた水処理の仕事が自動化、最適化されます。それにより、24時間施設に張り付いて水処理の状態を監視する必要がなくなりますし、様々なムダもなくなります。例えば、今は安全のために多めに使われている薬剤も、システムで最適制御されれば薬剤の量も減ってコストカットにもなるでしょう。

ーー水処理場のコストカットが行われれば、水道代が安くなることもありますか。

前田: 地域によって財政構造が異なるので一概には言えませんが、正直、それは難しい地域もあるかと思います。日々の運用だけではなく、設備自体の維持にも大きなコストがかかっているためです。

それでも、もちろん日々の運用コストカットをできれば運営は楽になると思います。

「WOTA PLANT」は水処理業界のためのサービスなので、一般の方が直接的に感じられる恩恵はあまり大きくないかもしれません。しかし、現在の水処理の専門的技術を後世に継承し、将来的に安定した水処理を享受できる可能性を残す安心感というのは、お金に変えられない価値なのではないでしょうか。

ーーたしかに安心して水が飲める安心感は大きい価値ですね。最後に次の展開についてもお聞かせください。

前田: 将来的には海外マーケットへの参入を計画しています。日本も潜在的には水に困っていますが、世界を見ればもっと困っている地域がたくさんあります。そのような地域にサービスを展開して、安心して水を享受してもらえればと思います。

直近、参入を考えているのはアメリカです。もともと砂漠だった地域に街を作っているので、水不足に困っている地域がたくさんありますし、シリコンバレーなど西海岸では特に問題が深刻です。早ければ来年にはアメリカにいってサービスを展開したいと思っています。

(取材・文:鈴木光平)

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