監察チーム聴取はすべて身内 勤労統計不正で厚労省

毎月勤労統計の不正問題を巡り、記者会見で質問に答える根本厚労相=29日午前、厚労省
毎月勤労統計の不正問題を巡り、記者会見で質問に答える根本厚労相=29日午前、厚労省【拡大】

 「毎月勤労統計」調査が不適切だった問題で、厚生労働省内に設置した有識者による「特別監察委員会」の前身である厚労省の監察チームによる職員らへの聴取に、有識者が1人も参加していなかったことが29日、分かった。同チームには同省職員と有識者で構成していたが、すべて身内である同省職員がヒアリングを実施していた。

 厚労省によると、監察チームは昨年12月27日~今月14日までの間、職員や元職員計24人への聞き取りを実施した。

 今月16日に監察委が発足して以降も、同省職員だけでヒアリングを実施することもあった。

 厚労省はこれまで、監察委による調査について、部局長級、課長級計20人は外部委員が聴取していたことを明かにしていた。だが、この説明を訂正し、半数近い8人は身内の職員だけで行なっていたことも判明した。

 説明が誤っていた点に関し、根本匠厚労相は29日の閣議後会見で「大変遺憾。国会などで誠実に説明させていただきたい」と陳謝した。

 根本氏はまた、監察委が今月16~22日までに聴取した関係者の実人数は計40人となったと公表。このうち、次官級の宮川晃厚労審議官と定(じょう)塚(づか)由美子官房長が部局長級職員ら8人の聴取に同席し、一部で質問もしていたことを明らかにした。

 根本氏は「事務方は事務の手伝いをするということでいる。あくまで、第三者委員会は委員のみなさんで議論をし、判断している」と釈明した。