今日から使えるロジカルシンキング

なぜビジネススキルである「ロジカルシンキング」を子供が学ぶ必要があるのか (2/3ページ)

苅野進
苅野進

 しかし、実際に社会に出ると「正解」はどこにも書いてありません。

  • 今日訪れる顧客との契約をまとめるためにすべきことは何か?
  • 顧客が一番気にいる案は次のうちどれか?
  • 上司が許可する予算はいくらか?
  • 職場での評価が高くなるには何をすべきか?

 常に皆さんが頭を悩ませているこれらの問題には模範解答などないのです。正解が含まれる選択肢が示されるわけでもないのです。学校での問題演習と指導に慣れた子供たち、大学生や若い社会人もこういった状況だと思考停止してしまうことが少なくありません。上司に対して「答えを知らないくせに、難題をふっかけてくるな」などストレスを感じることも多いのではないでしょうか。

 ロジカルシンキングは、このような状況でもパニックにならずに「情報を正確に集めて、整理し、理解する」「仮説を立てる」「相手に伝える」「実行して結果を理解して、次に活かす」ことができるようになるための各種技術の総称です。「そんな感じの状況にはまずはこんな風に対応する」というようなレベルからスタートすることで、「大きく外れてはいない」という手を打てるようにするものです。

社会に明確な模範解答はない

 私は、答えが明確な学校の問題で養った時間内で正確に問題を解く能力と、実際の社会で求められる試行錯誤や関係者とコミュニケーションを取りながら仕事を進める力とのギャップを埋めたいという思いでロジカルシンキング教室を開講しています。

 みなさんの今までの「学び」の感覚からすると、「ロジカルシンキング」は、少しあやふやな感じがするかと思います。「こんな場合はこうする!」と明確に方法論があれば良いのにと期待する方も多いでしょう。しかし、それは逆に大きな的外れを生み出す可能性があります。ロジカルシンキングはもう少し「柔らかい」スキルなのです。そして“上手な試行錯誤”の能力は社会人のアウトプットの質の向上に「じわじわ」効いてくるものなのです。

<上手な試行錯誤>

  • 目の前の複雑な情報を扱いやすく分類・整理する
  • 数値化できるものを明確にして的確に判断する
  • 情報を正確に伝達する

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