ローカリゼーションマップ

女性にこき使われてナンボ? 娘に尽くす警官に見るイタリア文化 (3/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 娘をエステサロンでおろしてから、友人はまたスピード制限を大幅に超える速さで走った。なんとUターン禁止のところを、ちゃんとUターンするという「サービス」までついて。

 そして用事のあるところで一仕事終えた後、「ちょっと待って」と1人でクルマをおりて近くのパン屋に入った。

 今日の夕飯で食べるパンを買ってきたらしい。

 「この店のパンはすごく美味いんだ。はい、これ!」と我が家の夕飯のパンも一緒に買ってきてくれた。予想していなかった親切にお礼を申し上げるしかないわけだが、娘の「王女様」ぶりが目に焼き付いているぼくは、まったくイタリアの男は大変だなあと思わずにいられない。

 (そう、そう、そういえば彼が警察で娘の宅急便の荷物を受け取ったあと、キオスクで新聞を2部買い、1部をぼくにくれたのだ)

 一つ一つどうでもいいといえば、どうでもいいこと。だけど、時間がたってもシーンとして頭から離れない。

 ひとつは、30年近く前にイタリアに住み始めた頃のエピソードを思い出させてくれるような、一つ一つの行為にある想いの熱量みたいなのを感じる「懐古的イタリアシーン」であること。 

 もう一つは、男は女性に「こきつかわれて」ナンボのものであるのがイタリアの文化であること。これを、父娘がしっかりと更新してくれたからじゃないだろうか。

 ああ、ナポリ弁はやはり強烈な世界をつくる。

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
Twitter:@anzaih
note:https://note.mu/anzaih
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ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。

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