働き方

従業員が給料以上に勝手に働く組織に グーグルが「日本風経営」に目覚めた理由 (1/4ページ)

 社員が自発的に会社に貢献し、給料以上に働く光景は日本企業特有のものだとされてきた。しかし、社会学者の鈴木謙介氏は「最近ではアメリカのIT企業の日本企業化が著しい。『終身雇用』を除けば、その経営手法は日本企業のようだ」と指摘する。どういうことなのか--。※本稿は、鈴木謙介『未来を生きるスキル』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

 日本人が勤め先に忠誠を誓っていたワケ

 いまの若い世代には信じがたいことかもしれませんが、「終身雇用」と「年功序列」という日本の雇用システムが世界で注目を集めていた時期がありました。1979年に、アメリカの社会学者エズラ・ヴォーゲルが、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』という本でオイルショックのダメージを受けなかった日本企業の強さを分析しました。その強さの要因こそが、日本の雇用システムだったのです。

 年功序列とは、先の保障があることにほかなりません。育児や教育、そして自身の老後のことをはじめ、人生は後になるほどコストがかかるため、それらに対する安心感を生みだします。また、将来的に雇用や昇給が保証されていれば、若いときには「多少マイナス分の大きい働き方をしてもいい」と思えるので、結果的に企業に対するロイヤリティが高まります。

 つまり、現時点での自分の適正価格でジョブホッピングしていくよりも、将来にお金がかかるときのことを見越して、がむしゃらな働き方をしてでも会社に居着こうと思うようになるのです。

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