書評

『福澤が夢見たアジア 西郷の大変革』井尻秀憲・著

 ■日本とアジアの違い比較考察

 東京外大名誉教授の著者は本書で、福澤諭吉が明治時代に語ったアジア外交戦略論の先見性を「ほとばしる感情」と表現した。

 福澤は「脱亜」に成功した日本に対し、中国や韓国が不可能であった理由を「古風『旧套(きゅうとう)』に呪縛されているからだ」と述べたという。21世紀の現在でもなお、中韓は旧套呪縛の延長線上にある。

 福澤は明治維新の西郷隆盛にこそ「日本人の士風」をみて、「愛慕」を抱いた。著者は西郷が「征韓論」を唱えたとする一般的な見方を否定。本書で福澤と重ねて論じつつ、アジア文明比較論まで筆を進めている。(アジア・ユーラシア総合研究所、800円+税)

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