経済インサイド

匠の技をデータと映像で継承、「アグリラーニング」に注目 (3/3ページ)

 同社はこれとは別に、アグリフィクサーの普及に向けレンタル制を導入した。生産過程が記録されるため「顔が見える農業」に生かせるとともに、導入した篤農家や農業試験場などが独自にアグリラーニングのような事業を行うことを想定した。「技術の継承につながる」(同社の根本浩取締役)からだ。ナシのほか、モモやカキなど品種の広がりも期待できる。

 農業現場では、従事者の減少や高齢化による担い手不足を補うため、ロボットやICT(情報通信技術)を活用して作業の効率化や省力化が進んでいる。一方で、熟練農家の経験や勘に頼っていた適期管理をデータ化することで、技術を継承し新たな担い手を呼び込んだり、生産性向上につなげたりする動きも活発化している。

 同社の田仲則子社長は「日本の農業技術を未来に残していきたい。全ての技術・ノウハウを可視化するとともに、アーカイブ化して技術の発展に寄与する」と語った。

 農林水産省も、熟練農家の技術・ノウハウの継承に意欲的だ。匠の視線や行動を計測したり、気づきを抽出・収集したりして作業履歴を記録・管理しており、新たな農業の担い手の学習、指導に活用するよう呼びかけている。(松岡健夫)

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