社会・その他

「諦める用意は私にはまだない」 出版の自由、香港で風前のともしび (1/3ページ)

 香港に対する中国の支配力がどれほど強化されているかを知るには、1989年の「天安門事件」に関する本の出版に挑戦してみればいい。

 香港にわずかに残る独立系出版社の一社である新世紀出版社の鮑璞氏(53)は最新著書の印刷を業者に断られ、家主からは敬遠され、大半の書店も受け入れてはくれなかった。「最後の秘密:6・4弾圧からの最終文書」とでも訳すべき89年6月4日に北京の天安門広場で起きた民主化運動に対する武力行使についての新著の出版に何とかこぎ着けたが、その過程の詳細を明かすことはできない。

 6月の発売前に香港でのインタビューで、「香港で独立した出版業を維持するために実行可能な解決策はもはやない」と述べた鮑氏は、一方で「香港独自の出版界が将来も存続できるよう、独立した出版物流会社が少なくとも1社は生き残ってほしい」とも語った。

 香港は中国への返還時、高度な自治が約束されていた。だが、出版界の苦境は中国共産党の権力に疑問を呈するあらゆる出版物を検閲する習近平総書記(国家主席)の意向を映している。数百人あるいは数千人が殺害されたとみられる天安門事件から30年を経て、こうした弾圧を扱うような政治的に微妙な問題をテーマにした出版物はほとんどない。

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