書評

『ロシア構成主義 生活と造形の組織学』河村彩・著

 ■社会主義文化運動の側面解明

 構成主義は、今から100年ほど前にロシアおよび旧ソ連で展開された芸術運動「ロシア・アバンギャルド」中の、一つの主義(イズム)を指す。それは社会主義という理念を、造形やイメージで具現化する壮大な試み。構成主義者らは芸術自体を否定し、家具や生活用品といった大衆のためのデザイン、社会主義の理念を宣伝するポスターなどグラフィックに力を注いだ。

 構成主義のグラフィックや造形には今も色あせない魅力があるが、本書は単なるデザインとして表層的にとらえるのではなく、社会主義の文化運動としての姿を多角的に解き明かしている。(共和国、3200円+税)

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