書評

『文化財建造物の保存修理を考える』 日本の文化を守る英知の結晶

 奈良時代の唐招提寺金堂は、江戸時代に改造され構造的な補強が行われるなど、繰り返し修理されてきた。「破損の程度に応じた適切な大小の修理を適切な時期に行い、建立時と同じ構造力を取り戻してきたのである」と記されているように、多くの文化財建造物はそうして現代に生き続けている。修理を通し技術が継承され、木造建築の保存は世界最高水準にあるという。監修の文化財建造物保存技術協会はシンポジウムを通じて歴史的建造物の修理や保存方法などの研究を発表し討論を重ねてきた。その成果をまとめた本書は、日本文化を守る英知にあふれている。(公益財団法人 文化財建造物保存技術協会監修・編集/山川出版社、5000円+税)

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